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「検察改革」への報復なのか

 与党「共に民主党」は、曺氏の逮捕状請求について「検察改革に対する報復だ」と反発しているが、この「検察改革」こそが、曺氏の疑惑捜査を見る上でのキーワードだ。

「検察改革」は文大統領の公約であり、大統領任期中に実現したいと考えている念願である。検察が強大な権限を握る韓国では、捜査指揮や起訴などの権限が検察に集まるため、外からの監視は受けにくい。つまり、その時々の政権の意に沿う「政敵への捜査」も、過去の政権ごとに行われ、歴代大統領の多くが退任後に検察の捜査を受けている。

中国・成都で行われた日中韓ビジネス・サミットの冒頭、出席者に手を振る(左から)韓国の文在寅大統領、中国の李克強首相、安倍晋三首相(12月24日、代表撮影) ©時事通信社

 文大統領が大統領秘書室長や民情首席秘書官として仕えた、師匠で盟友だった盧武鉉元大統領は、親族の不正資金疑惑で検察の事情聴取を受ける最中に自殺した。文大統領は、この盧氏の死を、当時の李明博(イ・ミョンバク)政権による「政治報復」と認識している。文大統領の検察への不信感は根強い。その経験が、文大統領の検察改革に対するこだわりにつながっているのだ。

「身内」に足を引っ張られ……

 文大統領の狙いは、検察の権限を削いで“骨抜き”にすることだと指摘される。10月、法相辞任の直前に曺氏が発表した検察改革案は、検察特捜部を廃止し捜査権を縮小、法務省の検察への監察権を強化するというものだ。

 特捜部廃止など検察への制限は、文大統領が指名した文武一(ムン・ムイル)前検事総長の時代から進められ、10月初旬に文大統領の指示を受けた尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長が1日で提出した案だ。これを最終的にまとめたのが曺氏だった。

 文大統領が検察改革の切り札として9月に強行任命したのが曺氏。その曺氏の疑惑で大統領府を捜査し、逮捕状を請求した検察のトップも文大統領が今年6月に検事総長に指名した尹氏だ。

曺国氏を捜査する尹錫悦・検事総長 ©時事通信社

 尹氏は13年に、朴槿恵(パク・クネ)前大統領が当選した前年に大統領選での情報機関の介入疑惑の捜査を指揮した際、上層部と衝突し、地方高検のヒラの検事に左遷されたが、16年に朴前大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件を捜査する特別検察官のチーム長を務めたことで名が知られるようになった。翌17年5月の文政権発足後にソウル中央地検トップの検事正となり、収賄容疑で李元大統領を、徴用工訴訟への介入疑惑で梁承泰(ヤン・スンテ)前最高裁長官を、それぞれ逮捕・起訴した。