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過酷であればあるほどいい 『ゆるキャン△』で沼に落ちた海外旅行オタクが解説する冬キャンプの魅力

『ゆるキャン△』は全然ゆるくないので注意

2020/01/04

genre : ライフ, , 国際

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 2018年のアニメ化をきっかけにキャンプブームの火付け役となった漫画『ゆるキャン△』(芳文社)が、2020年1月から放送開始のショートアニメと実写ドラマとなってお茶の間に戻ってくる。 

 ゆるキャン△をご存じない方へ簡単に説明すると、山梨県周辺を舞台に女子高生たちがオフシーズンの冬にゆる~くキャンプを楽しむ物語だ。ゆるっとしたストーリーの中にちりばめられたキャンプ知識は本格的かつ実践的なものばかり。作中で描かれる美しい富士山や美味しそうなキャンプ飯も相まって「キャンプ楽しそう」「キャンプやってみたい」と思わせてくれる。 

 かく言う私もゆるキャン△の影響でキャンプ熱に浮かされた結果、40代女3人で『おばキャン△』という名のチームを結成し、気付くとマイナス10度の浩庵キャンプ場でガタガタ震えながら野営していた。 

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ゆるキャン△の聖地、浩庵キャンプ場。土日でこんなに空いていることは珍しい。

ゆるキャン△はゆるくない 

 本栖湖の湖畔に位置する浩庵キャンプ場は、ゆるキャン△の原作では1巻、アニメでは1話と12話でモデルになった聖地だ。ベタではあるがストーリーの順序通りに聖地を訪れたくなるのがファン心理だろう。ダブル主人公のリンとなでしこの出会いの場であり、ファンにとって特別なキャンプ場だ。しかし真冬に初心者が訪れるにはかなりゆるくない場所である。 

浩庵キャンプ場入口。ゆるキャン△で描かれている通りの見た目だ。

 インド山岳部や中国チベット自治区、ボリビア南部、アラスカ等で寒さに慣れたつもりの私は恥ずかしいことに「冬キャンプなんてチョロ松だぜ!」と豪語していた。そんな私をあざ笑うかのように寒波が襲来し、気温はマイナス10度。ウォータータンクが凍って蛇口をひねっても水が出てこない。仲間の一人が寒さで体調不良になり民宿に避難した。 

初めてのキャンプはウォータータンクにつららができる寒さだった。