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source : 週刊文春 2017年8月17日・24日号

genre : ニュース, 社会

手紙の〈追伸〉で初めて吐いた“弱音”

 植松被告はその後の手紙で、神戸連続児童殺傷事件の元少年Aが出版した「絶歌」(太田出版)を読んだ感想を次のように記した。

〈殺人鬼としての自分に酔狂しており、彼はやはり結局の所は「社会復帰」することができなかったのだと感じました〉

6つの罪で起訴された植松被告

 別の手紙では、意思疎通がとれない人間の安楽死、大麻やカジノの合法化、軍隊の設立、女性の初回整形費用の国庫負担など〈7項目の秩序〉について列挙。その手紙の〈追伸〉では、初めて“弱音”を吐いてみせた。

〈逮捕されることを覚悟していたのですが、時折外の生活が恋しく思うことがございます。刺身のような生ものや、しゃぶしゃぶのように肉々しい食材を渇望しております。そして食事を制限されることで、とても大切な調味料が「コショウ」であることに気がつきました〉

 封筒には、ボールペンで描かれた鯉のイラストが同封されていた。

 事件に巻き込まれ、一時意識不明の状態から一命を取り留めた尾野一矢さん(44)の父・剛志さん(73)が憤りを隠さずいう。

「植松は『障害者は不幸しか生まない』と話していますが、それは間違っています。事件から3~4日目、意識が戻った一矢と再会した時のこと。『お父さん、お父さん!』と何百回も呼んでくれた。それを聞いた時、僕は『この子の親になって本当に良かった』と思った。私たち夫婦にとって、彼は一生の宝物なんですよ」

 事件は深い傷跡を残している。

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