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連載歴史・時代小説の歩き方

それにつけてもおやじはヒール――真田昌幸の「最期」読み比べ

2016/10/01

genre : エンタメ, 読書

 真田昌幸パパの喪中につき今回の更新はお休みさせていただきます。

 ――てなわけにもいかないようなので書く。書きますとも(泣)。『真田丸』開始以来、視聴者は室賀ロス・秀次さまロス・おばばさまロスをなんとかくぐり抜けてきた。そして超高速関ヶ原。治部&刑部ロスの痛みも癒えないうちに、ついにこの日が来ちまったよパパン……。

 ドラマでは信繁に後を託し、家族と家臣に看取られて旅立ったパパだったが、その場面、小説ではどう描かれているんだろう?

 ということで今回は、昌幸の最期が登場する小説を三冊、読み比べてみる。テキストは中村彰彦『真田三代風雲録』(実業之日本社文庫)、真田小説の永遠の金字塔・池波正太郎『真田太平記』(新潮文庫)、火坂雅志『真田三代』(文春文庫)だ。

 まず前提として、昌幸と愉快な仲間たちが九度山にいた頃は、家康と淀君が「秀頼ぃ、京都まで出てこいよー」「きーっ、うちの子気安く呼ぶんじゃないわよ会いたいならそっちが来なさいよ」とツノを突き合わせ、間を取り持つ加藤清正が「まあまあ、ここは俺に免じて。悪いようにはしねえから、な?」と奔走していた時代だったことを押さえておこう。なので三作ともに、そんな世間の動きと九度山が並行して語られている。

 そしてもうひとつ、三作に共通しているのは、九度山にいながらも昌幸は関ヶ原の雪辱を諦めていないことだ。情報を集めては、やがて訪れるであろう江戸と大坂の対決を予想し、策を練っている。このあたり、ドラマでは赦免がないことを悟って少しずつ力を落としたように見せかけて、実はちゃんと策を考えていたパパを彷彿とさせる。ニヤニヤ笑いの草刈正雄が浮かんでくるぞ。

真田三代 上 (文春文庫)

火坂 雅志(著)

文藝春秋
2014年11月7日 発売

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真田三代 下 (文春文庫)

火坂 雅志(著)

文藝春秋
2014年11月7日 発売

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