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2020/01/09

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 政治, 国際, メディア, 社会

米作戦は、ソレイマニが着火し中東で燃え広がっていた「火を消した」

 米当局は米権益へのさらなる攻撃を抑止するためにソレイマニを殺害したと発表した。しかしそれは同時に、彼の指令、工作活動により今後迫害される可能性のあった中東の多くの人々の命を救うことにもなった。中東での暴力の抑止効果は多大である。

 ソレイマニ殺害という米作戦は、田中教授の言うように中東に「火をつけた」のではない。ソレイマニが着火し中東で燃え広がっていた「火を消した」のだ。全く正反対である。

 イランは体制に敵対的な人物にはビザを発給しないし、国内での活動も認めない。NHKはテヘランに支局をおいている。田中教授やNHKは、イランの体制に咎められるような発言や報道をすると、今後の活動に支障が出ると勘案しているのかもしれない。彼らの「イラン贔屓」な発言は、それに起因している可能性もある。そうであるならば、正直に「イランの体制の見解を伝える」と言うべきであろう。

2020年1月8日に行われた演説で、トランプ大統領はイランによるイラク駐留米軍基地へのミサイル攻撃で米軍に被害者が出なかったこと、イランが対決姿勢を後退させつつあるなどと述べた ©AFLO

 イランがどのような国かを知らず、ましてやソレイマニなどという名は聞いたこともないという多くの日本人に、大学教授や報道機関という肩書や大義を掲げた存在が偏向した情報を「真実」として提供し、人々が「アメリカが悪い」「トランプが悪い」と思うように誘導するのは、プロパガンダにすらなりうる。個人や組織が反米思想を持つのは自由である。だがそれに立脚した報道は問題だ。

第三次大戦が起こる可能性はほとんどない

 日本のメディアは第三次大戦が起こるのではないか、と人々の不安を不当に煽るような報道もしているが、その可能性もほとんどないので安心していただきたい。イランは自国が消滅するような自殺行為に出ることはしない。実際、彼らが米軍基地に対して行った報復攻撃は、弾道ミサイルを撃ち込む映像こそ実に派手ではあったものの、人的被害を出さなかった。米側に事前通告もしており、イランが攻撃をその程度に制御したと考えるのが最も合理的だ。

 今回の事件に限らず、またNHKに限らず、日本メディアの中東報道は偏向しているように見える。日本人の多くは中東についての知識がないためそれに気付けない。騙されたり、不当に煽られて不安になったりしないためには、自ら知識をつけるしかない。

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