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30歳を過ぎたら同期の新居に行ってはいけない

インテリア雑誌に掲載されてもおかしくなさそうな

亜子さんの様子が変わり始めたのは、Aさん夫婦の新築パーティーに呼ばれてからだ。

Aさん宅は、最寄り駅からやや離れているものの、ゆったりとした庭付き一戸建てで、さすが注文住宅といった感じの凝った外装は、一目で周囲の家との違いがわかる。

内装やインテリアも「とにかく、建築士さんがこだわる人で……」とAさん夫婦は苦笑まじりに言っていたが、素人目にもセンスがよく、そのままインテリア雑誌に掲載されてもおかしくなさそうだ。

祥太さんは、自分たちの中古マンションと比べても仕方ないと、頭ではわかっているものの、気持ちは何となく沈んでいったという。亜子さんの様子をそっとうかがうと、時折、顔が能面のように無表情になっている。内心穏やかではないことだけは分かる。

田村さん夫婦とAさん夫婦の違いは、購入物件だけではなかった。

同期には親からの経済的援助や育児サポートがあった

Aさん宅の敷地は、Aさんの妻の父親名義のもので、結婚した時点でそこに住宅を建てる予定になっていたそうだ。そのため、会社の「住宅財形」や「NISA」など税制上有利な金融商品を活用して、住宅資金を計画的にためていた。

Aさんの実家の親からも「住宅資金贈与の特例」で援助を受けることができ、土地代を除く建築費用(約2000万円)の半分以上は自己資金でまかなったという。月数万円程度の住宅ローン返済も20年で完済できるらしい。月12万円の返済を35年間続ける田村家よりずっと余裕のある返済プランとなっているのだ。

さらに、Aさんの妻の実家の近くに建てただけあって、両親が子どもの保育園の送迎や世話などをこまめに手伝ってくれるし、夫婦そろって、実家で夕食なども食べて帰ることもあるという。

田村さん夫婦はいずれも地方出身で、両親は健在だが、すでにリタイアして年金暮らし。住宅資金などの経済的援助はもちろん、家事や育児のサポートは難しかった。