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2020/01/12

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, 政治, 国際

検察幹部は「これで裁判所や弁護人に強い姿勢を示すことができる」

 今回の逃亡劇で一番笑ったのは、ゴーン元会長に違いない。そして、ある検察幹部はこううそぶいていた。

「もちろん、ゴーン元会長が本当に極秘出国するとまでは思っていなかったが、結果的に我々が心配したようになった。おそらくゴーン元会長の公判はもう開けないだろう。検察は、今回の逃亡劇を盾に、裁判所や弁護人に保釈の運用について強い姿勢を示すこともできるようになったし、何よりゴーン元会長の無罪判決という最悪のシナリオも消えた」

レバノンでのゴーン氏の会見に検察は「国際社会で恥をかかされた」と地団駄 ©時事通信社

 

 保釈を認めたことを批判される裁判所、保釈条件を守ると誓約しておきながらゴーン元会長を逃したことを批判される弁護人。唯一、批判を受けないのが検察という構図。検察側は一時、楽観的な受け止めさえしていた。今回の出国劇で、検察は得をしたのではないか。そんな観測も流れた。

 しかし、8日に会見を開いたゴーン元会長は特捜検察の捜査を強烈に批判し、「人権を無視した取り調べ」を強調した。これに対し、森法相や東京地検の斎藤隆博次席検事が相次いで記者会見し、ゴーン元会長の言い分に猛反発した。今や、法務検察は怒り心頭だ。「国際社会で恥をかかされた」と地団駄を踏んでいる。

1月8日、記者会見を終えたゴーン夫妻 ©時事通信社

ゴーン逃亡は「非合法集団が潜入できる日本の現実」を浮き彫りに

 ただ、今回の脱出は法曹界という一定の業界へのインパクトに限られたと思うべきではない。いわゆる民間軍事組織とも言える「警備会社」が暗躍し、米特殊部隊(グリーンベレー)での活動歴がある人物らがゴーン元会長の出国を手助けしたことが明らかになってきた。そして、その非合法集団は既に日本を離れている。

 これは、裏を返せば、日本の法律に反することをたやすくやってのける外国人グループが潜入しうることを意味している。つまり、目的が違えば、テロ行為が起こりうることを示唆している。東京五輪が始まる前に、この教訓を生かし、徹底した水際作戦とセキュリティー対策を講じなければ、「世界一」をうたう日本の安全神話は崩壊するだろう。

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