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連載歴史・時代小説の歩き方

松陰の妹がこんなに可愛いわけがない――大河ドラマ「花燃ゆ」はここに注目

2015/01/17

genre : エンタメ, 読書

 ちょっとお嬢さん、今年の大河ドラマ「花燃ゆ」をご覧になりまして? 初回、伊勢谷友介&大沢たかおという超イイ男ふたりの間に熱い何かが生まれ、通じ合ったあの場面はもう、腐成分ゼロの私ですら完全に萌え死んだね。テレビの前で「YES!」と叫んでガッツポーズしたね。このツーショットだけでご飯3杯いけるね。

 だが、それはそれとして。今回の大河には混乱している。主人公の文を演じる井上真央は、朝ドラのヒロインだった。その朝ドラで井上真央の夫だった高良健吾が今度は高杉晋作で、でも文の夫じゃなくて、文と結婚する久坂玄瑞は別の朝ドラで杏と夫婦だった(そしてホントの夫婦になった)東出昌大で、そこで東出昌大の義父だった原田泰造は今回は義兄で、要潤は特殊な交渉術を使う未来人の可能性が捨てきれない(その同僚が杏だ)し、吉田松陰の伊勢谷友介は「龍馬伝」では高杉晋作で、文の父の長塚京三は「篤姫」の父で、つまり前は薩摩で今は長州で……

 ややこしいわ!(ブチキレ)

 個々の俳優に恨みはないが、もうちょっとどうにかならなかったか。日本に俳優は十人くらいしかいないのか。極めつけは大沢たかおだ。彼が画面に出た瞬間、全国の茶の間は「南方先生、ペニシリンです!」と駆け寄る綾瀬はるかの幻を見たに違いない。儒学者の役だが、日本中が医者だと思い込んでるぞ。

 と、ひとしきりドラマへのエールを送ったところで、コラムの主旨を思い出した。小説を紹介するんだった。今回は下関出身の古川薫による松下村塾の塾生の評伝二冊にしよう。久坂玄瑞の生涯を描いた『花冠の志士』(文春文庫)と、品川弥二郎の評伝小説『志士の風雪』(文藝春秋)である。なぜこの二冊かと言えば、文が登場するからだ。

花冠の志士 小説久坂玄瑞 (文春文庫)

古川 薫(著)

文藝春秋
2014年9月2日 発売

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志士の風雪 (文春文庫)

古川 薫(著)

文藝春秋
2015年8月4日 発売

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