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離婚後に一変した生活……酒好きの54歳女性が「孤独死」に至った真の要因

背景にある「女性の男性化現象」とは

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

酒好きの54歳女性が「孤独死」に至った真の要因

これまで日本での「孤独死」は男性の問題だった。だが法医解剖医の西尾元氏は「生涯未婚率が上がり、今後、女性の独居者は間違いなく増える。男性によく見られた死に方をする女性が、これから増えていくのではないか」と推測する――。

※本稿は、西尾元『女性の死に方』(双葉社)の一部を再編集したものです。

 

男性は仕事を辞めた定年後、孤独に陥るケースが多い。人間関係が職場にしかなく、働かなくなった途端に家族以外、他者や社会との関係が断たれてしまう。さらに独居者になれば、近所付き合いも挨拶程度で気にかけてくれる人もいない。アパートの一室で寂しさにさいなまれ、それを紛らわせるための酒におぼれていく……孤独死がもっとも増える60代の男性の、そんな現実をデータは示している(今後は定年延長など働く期間が延びることで、変化が出てくる可能性はある)。

女性と男性で孤独死しやすい年齢は違う

東京都監察医務院が発表した「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(平成30年)」からは、非常に興味深い日本社会の実像が見えてくる。東京都23区に絞った、自宅で亡くなった孤独死数を見ると、男性は45歳あたりから孤独死する人が増加し、60代で急激に増えるが、70歳以降、一気に減少していく。対して女性は、65歳以降ペースを上げて増加し続けている。

女性の孤独死は80代で男性より増える

一方、女性の場合、孤独死数は男性よりも圧倒的に少ない。65歳時点で見れば、その数は6分の1以下だ。ただ、60代から徐々に孤独死数が増え、80~84歳を境に男性の数を超える。女性はひとり暮らしをしていても、近所の人と付き合いがあったり家を行き来する友人がいたりと、男性よりもコミュニケーション能力に長けていることが多い。80代以降の孤独死数の増加は、自身の健康の問題や友人の減少などでこうした交友関係が途絶えるためかもしれない。

今、私が気がかりなのは、働く女性が増えたことで孤独死における“女性の男性化現象”が起きないか、という点だ。女性の生涯未婚率の増加、経済問題などの時代背景を考えると、これからは女性も生涯を通じて働くことが普通になっていく。総務省が発表した「労働力調査」によれば、2018年、15~64歳女性の「就業率」は過去最高の69.6%に達し、この6年の間に女性全体の就業者数は300万人弱も増えた。