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酒好きの54歳女性が「孤独死」に至った真の要因

今、世の中では、「孤独」や「孤独死」という言葉が氾濫している。こうした言葉を語る時、生前と死後の問題が明確に区別されていないように感じる。

ひとりで生活していて、急な病気で亡くなったとすれば、死体が発見されるまでに時間がかかる。同居者がいた人は、8割が死後1日以内に死体が見つかるのに対し、独居者のそれはわずか3割程度だ。夏に死後2週間も死体を放っておけば、体の腐敗はかなり進む。死後に活発化する微生物らの働きによって腹のあたりが緑色になり、カエルのお腹のように膨らんでいく。

死後のことまで思い悩まなくていい

腐敗した際に発生するガスが腸の中に溜まり、臭いも強烈だ。身体中にウジもわくだろう。冬場に長らく放置されれば、ミイラ化する可能性もある。

周囲と交友もなく、孤独に生きていれば、そうした状況に陥りやすくなることは確かだ。ただ、それが悪いことなのだろうか、とも私は考えている。

法医学者からすれば、死後腐敗して見つかることは、自然現象なのだ。ひとりで気ままに生き、生活を楽しんだ上での突然死ならば、私だったら大きな後悔はない。少々無責任な言い方に聞こえるかもしれないが、死後のことは周りの人たちの問題であり、自分が思い悩む必要はないと思うのだ。

自分にとっての素晴らしい人生とは何か。それを考えれば、おのずと自分らしい死に方も見えてくるはずだ。

西尾 元(にしお・はじめ)
兵庫医科大学法医学講座主任教授/法医解剖医
1962年、大阪府生まれ。香川医科大学医学部卒業後、同大学院、大阪医科大学法医学教室を経て、2009年より現職。兵庫県内の阪神間における6市1町の法医解剖を担当している。著書に『死体格差 解剖台の上の「声なき声」より』(双葉社)ほか。

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