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“武闘派ヤクザ”高山若頭の支配力――山口組が大きく揺れ始めた「2007年のある殺人事件」とは?

2020/01/25

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

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「知力と武力を兼ね備えた男だ」

 指定暴力団「6代目山口組」の若頭、高山清司が2019年10月に刑務所を出所したことをきっかけに、「神戸山口組」との間で銃器を使った凶悪な対立抗争事件が続発している。

 冒頭で紹介したのは、組織犯罪対策を担当している警察庁幹部が語った、高山の人物評である。

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高山清司若頭 ©共同通信社

「1000億円を稼ぎ出した」

「知力」というのは信賞必罰を旨とした組織運営に長けているうえ、組織維持のために必要なシノギ(資金獲得活動)にも秀でているといったことだ。名古屋を中心とした中部地域での高山の経済活動のうち、特に中部国際空港建設の利権が以前から指摘されてきた。

 事情を知る山口組幹部は、「シノギは何と言っても中部国際空港が最も大きい。全部で1000億円稼いだとも聞いている。砂利などのほか諸々の建設資材などの調達、ダンプカーなどでの運搬でもカネが落ちるよう様々な利権を拡張していったようだ」と説明する。

 警察庁幹部もこの点について補足するように同趣旨の解説をする。

「砂利については合法、違法を含め大きな利権だった。採取地は三重県から和歌山県にかけて広範囲にわたっていた。違法採取の砂利は、ある会社を通すとクリーンな砂利になって納入されていたようだ。違法な砂利のロンダリング(洗浄)だ。そのほかセメントだとか何だとあらゆる利権に手を広げ徹底してシノギを集めていたようだ」

「武力」とは高山出所というだけで、各地の山口組傘下組織による神戸山口組系幹部を襲撃する抗争事件が続発していること指す。