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新型肺炎 上海在住24年の日本人医師が訴える「中国の決定的な弱点」とは

2020/01/27
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 中国で新型コロナウイルス肺炎が猛威を振るっている。中国国家衛生健康委員会によると、27日午前0時時点の感染者数は2744人、死者数は80人となった。中国政府は最初の感染地となった湖北省武漢市など一部都市を封鎖したほか、患者が確認された地域では公共施設の閉鎖、海外団体旅行の中止など国民の移動制限に関する対策を次々と発表している。

 地元当局が当初、感染情報を公開しなかったこともあり、実態は公式発表以上に深刻ではないか、日本でも大流行するのではないかとの不安が広がっている。

1月22日の武漢市の漢口駅。マスクをして駅を訪れる人々。翌23日午前10時より、武漢市の公共交通、地下鉄、フェリー、長距離バスの運行は暫時停止された ©getty

 こうした中、ツイッターで注目を集めているのが上海東和クリニックの藤田康介医師だ。どう対策するべきか、なにに注意するべきかを冷静に紹介している。藤田医師は1996年から中国に留学し、上海中医薬大学博士課程を修了。日本人初の中医学博士号を持つ中国執業医師として上海で勤務している。その長い中国キャリアから、新型コロナウイルス肺炎を引き起こした、中国の本当の課題が透けて見えるという。

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 新型コロナウイルス肺炎は今、中国でどのような事態を引き起こしているのか。関係の深い隣国である日本はどのように対策するべきか。藤田康介医師に聞いた。

1月26日の藤田医師のツイート。春節後も「上海へ戻らないで下さい」というメッセージに大きな反響があった

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「封鎖前に武漢から出た人々の潜伏期間が終わる」

――新型コロナウイルス肺炎が猛威を振るっています。かつてのSARS(重症急性呼吸器症候群)を超える深刻な状況だとの危機感が広がっています。

藤田康介医師 現段階での感じではSARSよりも感染力が強いのではないかという指摘が専門家からもでています。ただし重篤になる確率はSARSよりも低いと言う指摘もありますし、治癒する人も多いです。詳細は今後の論文を待ちましょう。亡くなった方は多くが中高年ですから、高齢者など体力が弱い人は特に注意が必要です。

 とはいえ、日本人は余計に心配する必要はないでしょう。中国当局が感染者数、死者数の最新統計を発表するたびに日本ではトップニュースになっているようですが、一喜一憂する必要はありません。今の段階では増えて当たり前なので。「ああ、新しい統計がでたのね」ぐらいに受け止めておけば十分です。武漢市が交通封鎖を行ったのが23日ですから、ちょうど封鎖前に市外に出た人々の潜伏期間が終わるタイミングです。発見される感染者数は増えて当たり前でしょう。

 封鎖前の感染者が発病するピークを超えた後に二次感染がどれだけ広がるかが課題です。そのために中国国内の移動制限であったり、感染の可能性がある人の自主的な自宅待機であったりが重要です。

――現時点ではSARSより毒性が弱くても将来的な変異のリスクは否めません。