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串カツ田中の「東京の世田谷から攻めていく」が大正解だった訳

カリッとした食感も、「2度づけ禁止」も新鮮だった

この大阪スタイルの串カツが東京で受けた要因は、商品の目新しさと営業スタイルの両面から分析することができる。

まず、商品としての大阪スタイルの串カツは、前述の東京風の串カツとは似て非なるものである。東京ではほかの揚げものと同様に小麦粉をまぶしてから卵液にくぐらせ、パン粉をまぶして揚げるのが普通だ。一方、大阪のそれは卵、小麦粉、そしてヤマイモなどを合わせて仕込んだバッター液(衣)とごく細かくひいたパン粉を使用する。これによって、独特のカリッとした食感を生み出し、揚げものであるにもかかわらず、スナック感覚で気軽に何本でも食べられてしまう。

バラエティー豊かな具材も関東圏の人にとっては新鮮だった。定番商品の牛カツはそもそも関東ではなじみが薄かったし、ミニトマト、紅ショウガ、もち、チーズといった大阪らしいジャンクなメニューもものめずらしく映ったに違いない。サイドメニューにも関東では認知度が低い「どてやき」「肉すい」といった商品が並んでいた。

加えて関東人の心をとらえたのは、「2度づけ禁止」に代表される独自のルールや食べ方だ。串カツ専門店では卓上にソースが用意され、お客は運ばれてきたアツアツの串カツをこのソースにドボンとつけてほお張る。このソースは使いまわすので、一度口をつけた串カツを再投入してはいけない。キャベツはたいていお替わりが無料で、「ソースを追加でかけたいときには、このキャベツをさじ代わりに使うんだ」なんていうウンチクを語る人をよく目にした。

住宅地に出店してから駅前一等地へ

近年、首都圏の外食市場では「大阪発」「関西発」の商材や業態が受ける傾向があり、その流れにうまくのったといえるかもしれない。10代後半~20代前半の女性を中心に、安くて敷居の低い大阪の食文化にはまる人は少なくない。近年はもともと関東にはなかった「牛カツ」も大ヒットしている。