昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載近田春夫の考えるヒット

同時デビューのSixTONESとSnow Man。滝沢Pの手腕はいかに――近田春夫の考えるヒット

2020/02/10

『Imitation Rain』(SixTONES)/『D.D.』(Snow Man)

絵=安斎 肇

 Snow ManにSixTONES(ストーンズと読みます)と、ジャニーズの新人二組が一挙同時にCDデビューを果たした。その戦略的/業界的意味合いなどは、世に専門家も大勢おられるので、そちらにお任せするとして、単純に楽曲の聴き比べなどもしてみたいなと思い、とりあえずダメもとでネット上で探すと、なんと二曲ともにYouTube版と称する動画がアップされていた。そういえば、なんかジャニーズものも一部は“立ち読み解禁”になったとかどーたらこーたら、記事で見た気もするが、それがこれなのかな?

 さて、映像に最初に感じたのが、両者通じて表情のつけかたの案外大人っぽいことだった。結構クールである、といい換えてもいい。いわゆる“少年らしさ”をそれほどおもてに出してこない演出? あくまで私見ではあるが……。

Imitation Rain/SixTONES(SONY)2015年に結成。故ジャニー喜多川による命名。YouTubeに積極的に露出するグループに。

 SixTONESの話題はといえば、なんといっても作詞作曲にX JAPANのYOSHIKIの名がクレジットされていることだ。どんな曲を提供したのか、気にならぬといえば嘘になる。

 気になるついでに申せば、X JAPANのアルバムの行方はどうなっているのか? ここまで引っ張っておいて、結局出来栄えに納得が行かず、最終的に“お蔵入り”の可能性なきにしもあらずであろう。で、10年とか経って「幻のアルバム」的なふれ込みで、どっかからリークされるカタチで売りに出されたりして! いやぁ、そのぐらいの絵図はもう引いてるかもよ、なにせYOSHIKIなんですから(笑)。失礼。本題からそれてきた。

『Imitation Rain』はたしかにYOSHIKIらしい芸風ではある。が、いい方を変えれば再生産的でもある。そのあたりは滝沢プロデューサーの目論見/読み通りなのか、結果として単にそうなっちゃったのか? 個人的には、この詞曲にYOSHIKIの新機軸のようなものはあまり感じられなかったが、X JAPANの新アルバムの曲もきっとこういった味わいのものなのだろうなぁと、うすぼんやりとではあるがそんなことも思った次第だ。

D.D./Snow Man(AVEX)2009年「新春 滝沢革命」の脇役として経歴をスタート。バックダンスに定評あり。最終的な命名は滝沢秀明。

 Snow Manの方だが、こちらはいかにも職業作家の仕事といった風情の、手堅く仕上った、匿名性の強いダンスナンバーである。『Imitation Rain』とは全く“ベクトルの異なる世界”といっていい。

 なのだけれど、何か二者には通底するものも感じられて、それで色々思いを巡らすうち、浮かんで来たのが、冒頭の映像の印象の話なのであった。訴えてくるものの温度感とでもいおうか、二曲どちらも、フィジカルなアピールが――ジャニーズにしては――若干“辛口”にも思えたのである。

 ただね、事務所の体制が大幅に変わったっていう事前情報ナシに曲を聴いていたら、もしかして俺もそんなことは感じなかったかも知れない。その程度に些細な議論だとは、一応正直に申し上げておく。

 ところで、SixTONESと書いてストーンズと読ませる言語センスこそジャニー喜多川の真骨頂だ。そこはタッキーも是非受け継いでいってね!

今週の防疫体制「この号が出るころにはどうなっているかわからないけど、中国の新型ウイルスの報道で、みんな相当に過敏になっているね。あくまでオレの主観だけど、近くの中華街も閑散としているよ。オレも出来るだけ人ゴミに近づかないようにしておきたいね」と近田春夫氏。「2月開催のライブまでには、状況が落ち着いているように祈ってます」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

この記事の写真(3枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー