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「どこに行っても入口で体温測定」「ハンドソープも完売」新型肺炎で“異常事態” 北京で何が起きているのか【現地レポート】

「どこに行っても入口で体温測定」「ハンドソープも完売」新型肺炎で“異常事態” 北京で何が起きているのか【現地レポート】

2020/02/07

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 国際, 医療

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 新型コロナウイルスの感染が、中国の内外で拡大を続けている。

 特に中国国内における状況は深刻で、中国国家衛生健康委員会によると累計感染者は2月4日までに2万人を突破。中国本土における感染者と死者の数は、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を既に上回る。

「震源地」となっているのは湖北省武漢市だが、そこから1000キロ以上離れた首都・北京でも死者1人と200人を超える感染者が出るなど緊張感が高まっている。

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 春節(旧正月)の大型連休を終えたばかりの北京から、新型肺炎に直面する中国の人々の様子を報告する。

春節の大型連休初日の1月24日の北京駅。大半の人がマスク姿だった(筆者撮影)

店頭から消えたのは……

「あなたの家族を守るためにも、来店時にはマスクを着用してください!」

 春節休暇が明けた3日朝、自宅近くのコンビニの前を通ると殴り書きのような文字でこのように書かれていた。このコンビニに限らず、多くの店の入口には同じような注意書きが張られている。言うまでもなく新型肺炎の感染防止のためだ。ただ現在は注意されるまでもなく、北京市内では9割超の人が屋外でマスクを着けているというのが実感だ。

 特に人気なのは、医療従事者らが使う防護性の高い「N95」規格という本格的なものだ。大半のコンビニでは既にマスクは売り切れているが、まれに残っているマスクは「花粉対策」をうたっているようなウイルス対策の機能に欠けるとみられるものばかり。北京の人々が、性能をよく吟味してマスクを買っていることが分かる。

中国国内でマスクの増産が続けられている(江蘇省のマスク工場) ©AFLO

「液体ハンドソープはない! マスクはない! アルコール消毒液はない!」

 よほど来店客に聞かれることが多くて嫌になっているのか、店舗入口にこのような張り紙をしているコンビニも複数あった。ここでも書かれているように、マスクと並んで手に入りにくくなっているのが、新型肺炎の対策に効果があるとされているアルコール消毒液だ。