「1人8200円」ディズニー離れがこれから加速する3つの理由
新型コロナウイルスがディズニーに襲いかかる
オリエンタルランドは東京ディズニーリゾート35周年イベントを開催するなどして、“ディズニーファン”を中心に人々の支持を獲得してきた。その結果2018年、東京ディズニーリゾートの入園者数は3200万人を突破し、過去最高を記録した。
ただし、2020年3月期、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの業績はやや伸び悩んでいる。背景には、大型台風など複合的な要因が影響している。同社はイベントを行うなどして客足をつなぎとめているが、一人当たりの売上高は増えづらくなっているようだ。人件費などのコスト増加の影響もある。
世界経済を取り巻くリスク要因は増大している。中国経済の減速は世界経済全体の下振れ懸念を高める要因の一つだ。また、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は、わが国をはじめ、各国の観光産業などに無視できない影響を与えている。
それらは、オリエンタルランドの業績に無視できない影響を与えるだろう。今後、同社がどのようにして東京ディズニーリゾートの魅力を高め、人々が行きやすい環境を整備するかに注目が集まる。
苦境でも入園者一人当たりの売上高は増加
オリエンタルランドのこれまでの業績を確認すると、その時々の経済環境や気象の影響などから入園者数が減少する局面においても、ゲスト(入園者)一人当たりの売上高が徐々に増加してきたことがわかる。
同社は、ディズニーキャラクターを用いたイベントやグッズの開発を常に見直している。それが、より満足感(付加価値)の高いディズニー体験を消費者に提供することにつながり、企業としての成長が実現されてきた。この結果、2019年3月期決算は5年ぶりの最高益だった。
特に、同社がチケットの値段を引き上げつつ、人々の支持を獲得し続けてきたことは重要だ。これは、顧客の支持・信頼を得ることが、企業の成長に欠かせない重要な要素の一つであることを確認する良い例といえる。その発想は、製造業にも、非製造業にも当てはまる。