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【沢尻エリカ判決】初公判より薄くなった”口紅の意味” 弁護人質問にはスラスラ、検察質問には沈黙も

2020/02/09

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, 芸能, 社会

「心配してくれて叱ってくれる正しい人の意見に耳を傾けることなく、現実から逃避した世界で偽りの友情にとらわれ、抜け出すことができませんでした。彼らと過ごした非生産的な日常からは何も生まれず、すべてが幻でした。結果、すべてが害でした。心の底から後悔しています」

 演技派女優のセリフだ。ただし映画やドラマではなく、法廷での発言である。

判決は懲役1年6カ月、執行猶予3年

 自宅で合成麻薬MDMAなどを所持したとして、麻薬取締法違反の罪に問われた女優、沢尻エリカ被告(33)の判決公判が2月6日、東京地裁で開かれ、滝岡俊文裁判官は「薬物の社会的害悪を顧みない安直な動機に基づく犯行で、相応の非難に値する」として、懲役1年6カ月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。沢尻は裁判官の説諭を真剣な面持ちで時折うなずきながら聞いていた。

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2018年、映画「猫は抱くもの」完成披露試写会の舞台あいさつに登壇した沢尻エリカ被告 ©時事通信社

薬物使用は「別に」騒動より以前から

 沢尻は幼くしてモデルなど芸能活動を始め、18歳の2005年に公開された井筒和幸監督の映画「パッチギ!」でブレイク。誕生日を経て19歳になり、同じ年のテレビドラマ「1リットルの涙」(フジテレビ系)では、難病に苦しむ少女を熱演し、お茶の間に涙と感動を届けた。その後もハートフルな映画やドラマで清純な正統派のヒロインを演じ、瞬く間に一流女優への階段を駆け上がっていった。

 2007年に転機が訪れる。主演映画の舞台挨拶で司会の女性から思い入れのあるシーンを聞かれると「特にありません」。撮影中にクッキーを差し入れしたことについて聞かれると「別に」。本性が出てしまったのだろうか、20歳を過ぎた大人がすることではないと世論に激しく批判されしばらくその姿を見ることはなくなった。

 1月31日に行われた初公判、検察側は冒頭陳述で「19歳ごろから大麻やコカイン、MDMAを使用していた」と指摘した。「別に」騒動よりも前で、「清純派女優」として活躍していた頃にはすでに薬物に手を染め「現実から逃避した幻」の中で生活していたことになる。