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新型コロナで閑古鳥、いまこそ「京都、行こう」のチャンスだ

商売をしている人には申し訳ないが、やはりこの10年の京都は、異常なバブル騒ぎだったと思う。バブルは必ずはじけるもの。このタイミングで一度、冷静になって観光と市民生活の共存こそを考えるべきだろう。

ホテル代半額も。今なら本来の「落ち着きのある京都」を堪能できる

2月2日に投開票が行われた京都市長選挙も、争点はまさに「観光公害」であった。

与野党相乗りで推薦し、4選を目指す現職にたいし、共産党とれいわ新撰組が推薦する候補とのがっぷり四つの対決かと思われた。だが、蓋(ふた)をあければ5万票もの差で現職の門川大作氏が当選を果たした。

京都のインバウンド政策は、これまで門川市長が熱心に推し進めてきた。しかし、過剰なインバウンド増が市民生活に大きな影響を及ぼしはじめると、門川氏は「観光によって、地域コミュニティが押しつぶされてしまうことがあってはならない」と、方針転換する。

対立候補もホテルの建設規制を訴えるなど、選挙戦では現職・新人候補ともに観光政策の違いが見えてこなかった。そのことも影響して、結果的に現職有利に働いた。門川氏は、当選後のインタビューでも「京都は観光のためにできた街ではない。何よりも市民生活が大事」と述べた。

要は、大事なのは市民生活と観光振興とのバランスだ。「市民生活あっての京都」でもあるが、「観光あっての京都」でもある。インバウンド戦略はコントロールが効かないことを、この数年で京都は学んだ。今後は、観光で生まれた税収などをいかに、市民生活の安定ために配分していくか。それが4期目の市長に、問われていることだと思う。

最後に一言。いまの京都は、日本人が観光する好機である。

宿泊サイトで調べたら、多くのホテルで空室があり、料金も安くなっている。シーズン中と比べれば半額から3分の1くらいの印象だ。誤解を恐れずにいえば、コロナ騒ぎを逆手にとって、ぜひとも、本来の「落ち着きのある京都」を堪能しに来てもらいたいものである。

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)
浄土宗僧侶/ジャーナリスト
1974年生まれ。成城大学卒業。新聞記者、経済誌記者などを経て独立。「現代社会と宗教」をテーマに取材、発信を続ける。著書に『仏教抹殺』(文春新書)など多数。近著に『ビジネスに活かす教養としての仏教』(PHP研究所)。佛教大学・東京農業大学非常勤講師、(一社)良いお寺研究会代表理事。

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