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日本在住23年 中国人留学生が「日本そばの達人」になり、東京に名店を出すまで

2020/02/18

 東京には「福」という字が付く立ち食いそば屋の人気店がいくつかあった。しかし、高齢化や後継者不足などでその多くが閉店してしまった。

 神田錦町の「福寿そば」は2011年閉店。浜松町の金杉橋近くにあった同じく「福寿そば」は2012年閉店。笹塚駅改札を出たすぐにあった出汁のうまい「福寿草」(今の「富士そば」の所)は2013年に閉店した。

 こう書くと、なんだか東京が「福」から見放されてしまったような寂しさがあるのだが、決してそうではない。今も「福」がつく立ち食いそば屋の人気店がしっかりと営業を続けている。人形町の地元民に絶大な人気を誇る「福そば」である。

「立ち食いそばだから……」という言い訳ゼロ

 「福そば」は人形町甘酒横丁の交差点を小網町方向に進んで1つ目の路地を左に入ってすぐのところにある。玉ひでの道を挟んで反対側の路地である。

 入口は横格子戸の清楚な佇まいで、一見すると立ち食いとは思えない外観である。店内はやや高めのカウンターが続いた落ち着いた雰囲気で、大変綺麗である。

人形町の裏通りにひっそりと佇む「福そば」
店内は綺麗で、きりっとした空気が漂う

「福そば」はとにかく上品な味を提供している。つゆは繊細かつ深みがある旨さ。天ぷらの揚げ姿は美しくかつ屈指の旨さ。麺はやや細目の生麺を使用。立ち食い故の言い訳みたいな部分が皆無なのである。

「中国からの留学生」が「日本そばの達人」に

 2014年頃、はじめて食べた時、あまりの旨さに、店主はどこで修業した達人なのかと何度もその丁寧な所作に見入ってしまった。