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「密着度が高い独特の礼拝」で新型コロナ感染拡大へ 韓国「新天地教会」の実態

2020/02/27
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「先週まで会議でマスクをしていなかった人も今週からは全員着用。会社からは不要不急の出張は自制し、ここ1~2週間は業務に差し障りがなければ休みを積極的にとるか、時差出勤や在宅勤務をするように言われました。

『新天地教会』と聞いただけで、すわ感染か、と思ってしまう。まずは大邱市での感染が収まらないことには落ち着きません」(中堅企業に勤める50代会社員)

 18日に韓国国内で31人だった新型コロナ感染者数は20日から毎日100人、200人単位で増え続け、26日には1000人を超えた。急増が明らかとなった23日に韓国政府は新型コロナ感染症の危機段階を「警戒」から最高段階の「深刻」へと引き上げ、1日の検査可能数を7500件から、国と民間の機関合わせて1万件にした。

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 同日には1日8000件あまりの検査を行ったと伝えられて、週明けから雰囲気は一変。韓国では緊張が続いている。

大邱市の新天地教会前での防疫作業 ©Photo by Handout / Daegu Metropolitan City Namgu / AFP

独特な礼拝で感染が爆発的に広がったとみられる「新天地教会」

 なかでも、もっとも感染拡大が深刻といわれる地域は韓国第4の都市、大邱市だ。大邱市の感染者は韓国全体の感染者数のおよそ6割を占め、さらにはそのほとんどが新興宗教「新天地イエス教証しの幕屋聖殿(以下、新天地教会)」の信徒やその関係者であることが確認された。

 これを受けて青瓦台の国民請願掲示板には22日、「新天地教会を強制的に解体させることを請願します」という請願が登場。26日までに81万人以上の署名が集っており、文在寅大統領自らも「新天地教会の大邱教会閉鎖よりもさらに強い対策が必要」(ニューシス、2月20日)と異例の言及をしている。

「新天地教会の独特な礼拝で感染が爆発的に広がったとみられています」(宗教に詳しい韓国紙記者)

 大邱市で初めて新型コロナ感染が確認された信徒は確定診断を受ける(17日)まで2回礼拝に参加したことが分かっている。前出記者の話。

「新天地教会の礼拝はプロテスタントなどの教会とは違い、信徒が男女に分かれて、肩が触れるような間隔で床に座り、頻繁に声を出したり、手を取り合ったりするなど密着度が高いことで知られています。

 また、信徒獲得のためのノルマがあるといわれていて、布教活動が活発。信徒は全国を歩き回っている。礼拝という閉鎖空間での密着度の高さや、全国各地で行われている布教活動により感染が広まったのではないかとみられます」