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2020/03/31

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 品質評価で100点を取るためには、障がい者が日常的に90点以上を取ることが必須だと丹野さんは考えた。そこで、障がい者の方たちが一般従業員の適切な指示出しや呼びかけで能力を発揮できるよう、目配り・気配り・心配りを徹底させた。こうした試みを続けた結果、評価が少しずつ上がり始め、ここ3年は毎年100点が取れるようになった。

作業の状況を表すカラーカードを持つ丹野所長。「準備中」「準備OK」など、作業内容によって色が決められている

 障がい者雇用を定着化させるためには、長期スパンで「育てる」という視点がとても大切だ。重度の障がい者の場合、一人で作業が行えるようになるまで、5年かかると丹野さんは見ている。

「JR東日本環境アクセスのほかの事業所では、2~3日OJTをしてすぐ現場に出てもらう部署もあります。でも、うちは違います。まず2ヵ月間の実習を行い、そこで本人の弱みや強みを徹底的に引き出して、特性に応じて適材適所に配置することで、本人が自信を持って働くことができます」

洗濯作業の前に、手順をお互いに確認しあう(写真提供/JR東日本環境アクセス)

 丹野さんに弘済学園事業所の強みを尋ねると、「一般従業員が障がい者に寄り添って仕事をしてくれるところ」という答えが返ってきた。「障がい者と健常者が一緒に助け合いながら働くことで、お互いにいい効果が生まれている」と丹野さんは分析する。

 丹野さんの好きな言葉は「万人逐之、一人獲之」だという。これは「みんながウサギを追うけれども捕まえるのは一人だけ」ということだが、その裏には、一人がウサギを捕まえられる、つまり、成果を出せるのは、何人もの人の協力があってこそ、という意味がある。「私が着任してから、弘済学園事業所が品質評価で100点を取れるようになったことは事実ですが、それは障がい者の方を支えてくれる一般従業員がいて、成果を出してくれる障がい者の方やそのご家庭、そして、私たちの作業を評価してくれるJR東日本環境アクセス本社と、清掃業務を発注してくれる弘済学園、悠トピアの存在があってこそ。やりがいと人間関係において、最高に恵まれた職場だと思っています」(丹野さん)

障がい者と一般従業員が共に協力し合うことで、お互いに働きやすい職場環境をつくっている(写真提供/JR東日本環境アクセス)