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2020/03/31

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 弘済学園事業所には重度の知的障がい者の方が多く働いているが、合理的配慮でできることが増えると、仕事へのモチベーションが向上する。さらに、障がい特性がうまく生かせれば、一般従業員よりも高いパフォーマンスを出すことも可能だ。

モップ本体と収納場所は、同じ色同士が収納されるよう、工夫がされている

 また、一般の従業員の場合、知的障がい者たちの見本となって仕事を行うなかで、作業手順の効率化や、リーダーとしてのスキルが身につくケースも多い。子育てを終えた従業員が、「もう一度子育てをしているみたい」とやりがいを持って障がい者とともに仕事に取り組む姿も多く見られる。また、一般従業員のなかには、自ら障がい者の特性を深く理解したいと、本などで独自に勉強をする人も増えたという。
「障がい者一人ひとりの特性を理解し、うまくコミュニケーションを取ることで、仕事にもいい循環が生まれています。適切な配慮と理解があれば、重度の知的障がいを持つ方でも、能力や個性を生かして働くことができますし、障がい者と一緒に働くことで、一般の方はさらなるスキルアップにつながります」(丹野さん)

「清掃スキルよりも、コミュニケーションスキルが重要」

 だが、障がい者に配慮しすぎると、単純作業の繰り返しになってしまい、仕事へのモチベーションが下がってしまう原因になりかねない。また、年齢を重ねてもできる、清掃以外の新規業務への取り組みも喫緊の課題だ。

 こうした課題解決のために、丹野さんは5年前から、新規エリアでの清掃業務を提案していた。障がい者のスキルアップを図りながら何度も案を練り直し、この4月からようやく小田原駅の従業員エリアと、開店前の駅ビルの2カ所の清掃を新規で担当できることになった。

「これまでにない新しいエリアということで、障がい者のみなさんの仕事へのモチベーションがかなり上がっています。ここでしっかりと成果を出し、さらなる仕事につなげていきたい」と、丹野さんは決意を語る。

トライアスロンの公式ユニフォーム。丹野さんは、大会で入賞するほどの実力者(写真提供/JR東日本環境アクセス)

 丹野さんが目標に向かってストイックに努力できるのは、30年以上趣味で続けているトライアスロンのおかげだという。最盛期は1週間に45~50時間くらいトレーニングをしていたという筋金入りのアスリート。そんな丹野さんだが、スポーツは、「自分の弱さを知るためにやっている」という。「サボったり、手を抜きたくなったりするたびに、『自分に負けている』と思い知らされる。自分が弱いということを知っている人間は、スポーツでも仕事でもいい結果が出せると思っています」

「負けを知っている人間は、強いと思う」と丹野所長

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