子育てをしているとわからないことが次から次へと出てくる。ネットで調べても情報が多すぎて、迷いは深まるばかり。戸惑ったのは、東大医学部を卒業したママ医師の森田麻里子さんも同じだという。そこで森田さんは、科学的な裏付けを調べることにした。国内外の最新の論文や文献に目を通し、妊娠中の予防接種や離乳食、寝かしつけなど現時点での「正解」を考察。『東大医学部卒ママ医師が伝える 科学的に正しい子育て』という1冊の新書としてまとめられた。長年の慣習や思い込みの誤りに気づくことも多かったという森田さんがたどりついた「科学的に正しい子育て」とは?
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「えっ? どうしよう」東大卒ママ医師も戸惑った
――『科学的に正しい子育て』を書くきっかけになったのは、森田さん自身が育児に際して、「正解がわからなかった」からだそうですね。医師の森田さんでも、わからなくなるものなんですか?
森田 実を言うと、出産する前は自分が子育てに悩むとは予想していなかったんです。子育てのことをよくわかっていなかったということも大きいですが、赤ちゃんの診察や採血をしたこともありますし、新生児室に出入りしたこともありましたから、だいたいのことは「わかったつもり」だったんです。
でも実際に赤ちゃんを産んだあとに助産師さんに「時間がきたら授乳してくださいね」と言われて、生まれたばかりの息子と二人きりになった時に「えっ? どうしよう」と思って。
――いきなりお世話の責任者になってしまう。
森田 そうなんです。昔は、身近に子育てをしている人がいたり、年の離れたきょうだいがいたりして、何となく知っているということが多かったのかもしれませんが、今は授乳ひとつにしても教えてもらわないとわからない。
そのあとも戸惑うことの連続でした。おっぱいをあげても泣きやまないし、離乳食も情報はたくさんあるけれど、どれが正しいのかがわからない。当時は福島県に住んでいて、実家は遠いし、夫は仕事で不在のことも多く、ママ友もいない。全部自分で判断しなくてはいけない状況で、このままでは続かないと思いました。
きっとほかのママたちも同じ想いをしているのではないでしょうか。そこで、疑問に思ったことは自分で調べることにしたんです。