〈解説〉
アサド政権と反政府勢力との内戦が現在も続いているシリア。ジャーナリスト志望の学生だったワアド・アルカティーブが、スマートフォンで撮影した2012年から2016年までの映像を、共同監督のエドワード・ワッツとドキュメンタリー映画として完成させた。内戦が激化の一途をたどる中、アレッポに暮らすワアドは医師を目指すハムザと出会い夫婦となり、新しい命を授かる。自由と平和への願いを込めて、娘にアラビア語で「空」を意味するサマと名付けるが、独裁政権は空爆を繰り返す。ハムザは仲間たちと犠牲者の治療に当たったが、多くの人が命を落としていった。真実を世界に伝えるために、そして自分たちが生きた証を娘に残すために、ワアドはカメラで撮り続ける。第72回カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞ほか、50を超える映画賞を受賞した。100分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆話の運び方、画面の切り取り方、室内と室外、生と死の対比など過不足なく的確で、臨場感たっぷり。貴重なドキュメント。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆哲学的主張を交えずに日常を綴るスクラップブック形式だけに、アレッポの痛みが伝わる。5年分の時間も炙り出される。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆爆撃を受けながらも仲睦まじい家族と、幼子の遺体の映像に胸を抉られた。今を生きるシリアの現実の凄絶さが克明に。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆サバイバーは母親で活動家で監督。希有なセルフドキュメントの眼が戦場の渦中で「非人道」の生々しさを直截に伝える。
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洞口依子(女優)
★★★★☆戦闘機の音がいつも幸せを壊す。人が生きる場所で繰り返される人による破壊。母の鼓動の様なカメラの視点をみつめる。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
「娘は戦場で生まれた」(英、シリア)
全国順次公開中
http://www.transformer.co.jp/m/forsama/
