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連載近田春夫の考えるヒット

高身長と甘いイケメンボイス SOLIDEMOはアジアに羽ばたける?――近田春夫の考えるヒット

2020/03/12

『Love Yourself』(SOLIDEMO)/『HIDE and SEEK』(Lead)

絵=安斎肇

 前にも書いたが、男子団体アイドルの分野/市場では、いつのまにやら、思いのほか“非ジャニーズ系”が幅を利かせてきているようである。

 先鞭をつけたのが、kpop、一方でEXILE一家なのはいうまでもないが、今週ご紹介の一組目も、またそうした開拓者たちの影響下にあるか、あるいは、彼らの成功に後押しをされて誕生したと思われるグループである。

 SOLIDEMOと書いてソリディーモと読ませる、'14年デビューの8人組だが、全員が身長180cm以上だそうで、この、“売り”がタッパ(背の高さ)! というだけでも、もう既にジャニーズの商品哲学にはない発想だろう(そういえばGSの時代にブルーインパルスが同じようなことを売りにしていたかも?)。

「『メイド イン ジャパンのアーティストがアジアで活躍する』ことを目標」とするとの紹介記事があったので、資料に目をやると、作曲に携わった三人のうち二人は外人と思しき横文字名前だ。それもそういった“目標”と、何か関係はあるのだろうか?

Love Yourself/SOLIDEMO(avex trax)平均身長180cm以上がポイントの8人組男性グループの14thシングル。

 アピアランスが気になって動画をチェックすると、たしかに顔立ちからして背が大きそうな感じのする人たちだったが、その割には、お洋服がちと可愛らし過ぎな気のしないでもなかった……? ま、そこいらへんは趣味/主観の話の範疇ではあります。

 肝心なのは楽曲である。率直なファーストインプレッションを申せば、この曲ならではというようなカラーは、あまり見出せなかった。ただそこはそんなに大した問題ではない。新発売の自動車だって家電だってそういったことは結構多いですから、ハイ。

 聴いてみて先ず感じたのは声のことだ。いわゆるハイトーンというのか。前に流行った――曲調などは全然違うけれど―― a-haの『Take On Me』をふと思いだした。一体どのような歌詞内容なのか英語なので全く分からないクセに、声の調子が印象的で一度聴くと耳から離れなかった曲だ。そういった文脈に於いて、歌詞に何が歌われているのかではなく、純粋に“楽器として”のSOLIDEMOの声に惹かれ/反応をし、この曲というか彼らを好きになる人たちは確かにいるのだろうと。

 いってみれば、このグループ、声がイケメンなのである。

 なるほど、そうと気付けば、海外で勝負をしようという目論見(はちょっとコトバが悪いかな?)の拠り所のようなものも見えてくる。すなわち相手は所詮日本語がわからない。そうしたとき、一番伝わりやすいのは、「声質とみてくれ」であると……。たしかに高身長に甘いハイトーンボイスはわかりやすいかも?

 それにしても昔の歌謡曲は、フランク永井に神戸一郎、水原弘と、それこそ「低音の魅力」が定番だった。いやホント昭和は遠くなりにけりだ。

HIDE and SEEK/Lead(PONY CANYON)2002年から活動を続ける彼らの32枚目のシングル。作詞はメンバーの鍵本輝。

 Lead。

 '02年デビュー! まさに筋金入りとはこの人達のこと。普通に大人なところが、素直にかっこいいと思えました。

今週の御礼「2月25日のバースデイライブに足を運んでくれた方々、ありがとうございました。最高の気分で69歳を迎えることができました。後で写真を見たら、ステージ真下に安齋さんが来てくれていたみたいで、気が付かなくって申し訳なかったです」と近田春夫氏。「自分じゃ落ち着いて演奏していたつもりでも、いろいろ舞い上がっていたんだなあ」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

出典元

安倍晋三「大暴走」

2020年3月12日号

2020年3月5日 発売

定価440円(税込)

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