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レントゲン検査をしたら肺が真っ白、意識も朦朧と……

「38度の熱が出た。解熱剤を投与しても、一向に下がらず、高熱が8日間にわたって、続きました。レントゲン検査をしたら、肺が真っ白です。医師から典型的な新型コロナの症状だと告げられました。食欲はなくなり、意識も朦朧となりました」(同前)

 抗HIV薬を投与すると一時回復。妻は安堵のため息をついたが……。

「そして19日、再び悪化したのです。酸素チューブ、酸素マスクをつけても呼吸が困難になり、医師からは『人工呼吸器をつけないと命が危ない』と言われました」(同前)

 まだ船内にいた妻は、代わりに息子たちに病院へ向かってもらったという。

 そして、妻のスマホに夫から30秒の動画が届いた。画面の中の夫が語りかける。

「これから集中治療室に入ります。あなたも頑張ってください」

「息子たちへ。ママを頼んだよ」

乗客に配られた問診票(Twitter@daxa_twより)

「その日の夜は眠れず、震えていました」

 妻が当時を振り返る。

「看護師に頼んで撮影してもらったようです。子どもへの遺言だと受け止めました。夫は持病もなく、毎日ジムに通う健康体でしたが、年齢が年齢ですので、死を覚悟しました。その日の夜は眠れず、震えていました」

 その1週間後の27日、ようやく人工呼吸器を外すことができて、その翌日には個室に移ることができた。

「急変するのが新型コロナの怖さ。助かったのは奇跡です」(同前)

 妻も下船し、現在は自宅で暮らしているが、感染している可能性もあり、夫にはまだ会えないという。

「医療関係の仕事をしている長男は2週間の自宅待機を命じられました。次男は結婚が決まっていて、2月の3連休に両家顔合わせの予定でしたが、延期に。陰性から陽性に変わるケースが出ているので、私もいつか発症するかもと思うと不安でたまりません」(同前)

 感染者とその家族の苦悩は続いている。

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