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「女性活躍は大事だけど、本人次第だよね」ジェンダー多様性から目を背ける日本の経営者たち

ジェンダー平等は利益を生む。それが世界の常識です

2020/03/23

 あれ? そういえば、202030って、どうなったんだっけ。「2020年までに、社会のあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を30%に増やす」という政府が掲げている指標。今年がまさにその年だけど、「いったいどれくらい達成されているのかしら?」と調べてみたら、程遠い数字でした。

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 IPU(列国議会同盟)によると、日本の国会議員に占める女性比率は参議院22.8%、衆議院9.9%で、193カ国中166位です(2020年2月時点)。女性閣僚比率はG7で最低の15.8%。またILO(国際労働機関)によると、2018年の世界の管理職に占める女性の比率は27.1%ですが、日本は12%でG7最下位。2019年の上場企業の女性役員比率は5.2%にとどまります(内閣府まとめ)。202030どころか、202020すら達成できていなかった……。

 なぜこんなにやる気がない(としか思えない)結果になったのか。

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「諸外国に遅れているのはあまり悲観していません」

 今年の3月8日の国際女性デーに、非常に興味深い記事が新聞の一面を飾りました。朝日新聞が国内の主要企業のうち「女性役員ゼロ」の14社に取材したところ、女性幹部が誕生するための条件として、女性本人の意識改革や女性の採用数の増加が必要だと考えている企業がもっとも多かったというのです(それぞれ5社)。経営層の意識改革が必要と答えたのは2社、男性社員の意識改革が必要と答えたのは1社でした。

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 その翌日、朝日新聞のデジタル版に、経団連副会長でダイバーシティ推進担当のANAホールディングス社長・片野坂真哉氏のインタビュー(男だらけの財界「個別企業が努力すべき」 経団連幹部)が掲載されました。

 片野坂氏は、日本企業の女性登用の状況があまり変わっていないことについて「制度を作っているのが男性中心だから、職場の取り合いになる。女性が力のあるポジションについたときに初めて動くのだと思う」と回答。経団連の幹部に女性が一人しかいないことについては「企業のトップの中に女性が登場することが第一歩。諸外国に遅れているのはあまり悲観していません」。経団連幹部にも2割を目安に女性を入れると決めてはどうかとクオータ制について聞かれると「規定から入るのはおかしい。シンボリックに女性を登用すると、その人たちも相当苦労します」と答えました。

 この他人事感はなんでしょうか。