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2020/03/23

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

最後の食事は1人、夜通し立たされ何度も冷水を……

 心愛さんは死亡する2日前の夕食に、ファミリーレストランの出前のチーズ入りハンバーグを食べたのが最後の食事となった。それも、父母といっしょにリビングで食べることはできず、1人寝室で食べさせられた。以降、まる2日、食事は与えられず、22、23日の夜は夜通し立たされた。

 しかも23日の夜は、真冬の浴室で洋服を着るのも許されず、肌着1枚だった。その日の昼間も、被告が病院へ行く間、浴室でその場で「駆け足をしろ」と無意味なことを言われ、帰宅したときにやっていないのが見つかるとさらに暴力を振るわれた。

栗原勇一郎被告の初公判で傍聴券を求めて並ぶ人たち(2月21日、千葉地裁前) ©共同通信社

 死亡当日の午後も、ただでさえ肌着1枚で寒かったのに、頭から何度も冷水をかけられた。夜、寝ようと寝室に入ると、「寝るのはダメだから」と浴室に引っ張られ、シャワーの冷水を顔にかけられ絶命した。判決では、被告が心愛さんを「強度に衰弱させることも構わないと考えていた」としている。被告は傷害致死罪に問われたが、10歳の心愛さんにかけた追い打ちは、殺人に近いと言える。

心愛さんに責任を押し付けた

 勇一郎被告は初公判で「みーちゃん、ごめんなさい」と涙を流して謝罪し、最終陳述でも、亡くなった心愛さんを「永久に弔いつづける」「罪と向き合い、一日一日、必死に償います」と述べた。

 だが、心愛さんを長時間立たせたり、屈伸させたりしたことについては、「心愛がやると言ったのでやらせた」と主張し、心愛さんに責任を押し付ける法廷での態度を見ていると、謝罪の言葉も深い礼も空虚なものに映った。

千葉県野田市が公開した、栗原心愛さんが父からの暴力を訴えた学校のアンケート

 もし、勇一郎被告が本当に心愛さんを弔い、罪を償う気持ちがあるのなら、塀の中で過ごす16年間、毎朝冷たい水で洗面するたび、真冬に冷水をかけ続けられて衰弱した心愛さんのことを思い出してほしい。どれだけ冷たかったか、どれだけ孤独だったかを感じてほしい。

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