昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「がん家系」ってホントにあるの?

source : 提携メディア

genre : ライフ, 医療

「がん家系」ってホントにあるの?

 「焼き肉や焼き魚のこげでがんができる」などと聞いたことはありませんか? このような、がんにまつわる迷信はたくさんあります。「遺伝病」という誤解もその一つです。

 がんは、遺伝子が傷ついて不死細胞ができる「遺伝子の病気」ですが、「遺伝する病気」とは言えません。実際、遺伝はがんの原因の5%程度にすぎませんから、「ほとんどは遺伝しない」のです。

一卵性双生児でも同じがんになるのは1割

 「両親ともがんだ」と聞けば、「がん家系」のような気がしますが、一生の間に男性の3人に2人、女性の2人に1人が何らかのがんにかかるのですから、けっして珍しいケースではないのです。

 まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、同じがんにかかる確率は1割程度にすぎません。逆に、長い時間をともに暮らす夫婦は、同じがんにかかりやすい傾向があります。とくに、肺がんや胃がんでは、夫婦ともに発生する確率が高いことが分かっています。家庭内での喫煙や塩分の高い食事の影響があると思います。

 がんの原因の半分以上は生活習慣にありますから、社会のあり方や生活の変化によって、多いがんの種類も変わってきます。たとえば、最近、韓国に抜かれましたが、日本は長い間、世界一の「胃がん大国」でした。今でも、 罹患(りかん) 数では、大腸がんに次いで2位です。

 一方、白人の胃がん発生率は、日本人の10分の1程度で、米国では白血病を下回ります。しかし、その米国でも、1930~40年代は胃がんがトップで、今の日本並みに発生率が高い時代がありました。現在の日米の「胃がん格差」は、民族差によるものではないのです。

ハワイとブラジル 移民の胃がん発生率に差

  ハワイやブラジルなど、海外に移住した日系人は、日本人の遺伝子を持っています。しかし、かかりやすいがんの種類は、日本に住む私たちと大きく異なります。たとえば、乳がんは、わが国でも増えているものの、依然として欧米と比較すれば罹患率、死亡率ともに半分にも満たない低さです。しかし、ハワイやブラジルの日系人の罹患率は、日本国内の2~5倍に達します。動物性脂肪などが多い西洋的な食生活が、海外の日本人に乳がんを増やしたと考えられています。