新型コロナウイルスの感染拡大が止まらぬ中、感染症の専門家としてワイドショーに連日出演し、一躍時の人となった岡田晴恵・白鷗大教授(57)。その岡田氏が、国立感染症研究所の研究員時代に執筆した論文に「データ捏造」の疑いがあり、当時の感染研所長から論文の取り下げを要求する文書を出されていたことが「週刊文春」の取材で分かった。
文書の日付は2002年5月17日。差出人は当時の国立感染症研究所所長・吉倉廣氏で、宛先は岡田氏の上司にあたるウイルス第三部部長の田代眞人氏だ。共有先に岡田氏の名前もある。
感染研の元同僚は「週刊文春」の取材に対して、次のように証言した。
「文書が問題にしたのは、岡田氏が2001年1月に発表したはしかの細胞性免疫に関する論文の元データ。はしかにかかると、免疫が一時的に下がりますが、論文ではその実験データがあまりにきれいすぎた。明らかに人為的だと、改ざん疑惑が浮上したのです」
事態を重く見た吉倉所長は検証を進め、田代部長を通じて岡田氏に元データを出すように再三要請した。
「しかし、田代さんも岡田さんも無視したため、所長は文書を出したのです」(同前)
文書は次のような文言が並ぶ。
〈前の依頼文でも述べましたが、論文が患者からの臨床データと分画された細胞の数、サイトカイン量の測定に基づく事を考えると直ちに提出が可能なものです。そのような性質のものであるにも関わらず提示出来ないと云う事は、データがそもそも無い(つまり捏造されている)か、著しく歪められて発表されたか、何れかであると判断せざるを得ない状況です〉
つまり、データの捏造を岡田氏は犯していると、研究所のトップが指摘しているのだ。
さらに、
〈研究所所長の権限は、岡田研究員が元データの提示をし得なかった事の確認迄、と判断致しますので、これ以上の事は致しません。(中略)後は、岡田研究員当人の研究者としての良心に任せるのみであろうと思います〉
〈所外の共同研究者に事の次第を説明し、論文の取り下げ位はすべきであろうと思います〉と要求している。