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あのクルーズ船の「特殊清掃」を任された業者が、次に抱えている仕事

特殊清掃はその名のとおり、単なるハウスクリーニングではない。孤独死、自殺、殺人現場などの室内清掃・遺品整理を実施する業者のことだ。もとは殺人が多い米国で、特殊清掃の概念が生まれたという。

こうした変死体の場合、発見までに死後かなりの日数が経過していることも少なくない。

特に夏場の、遺体の発見が遅れた現場は凄惨である。遺体そのものは既に運び出されているものの、室内は体液や毛髪などが残されたままである。腐敗臭が漂い、家財道具にはその強烈な匂いが染み付いている。特殊清掃は室内の清掃、除菌、消臭はもちろん、時には畳やフローリング、クロスの張り替えなどのリフォーム技術も要求される。

特殊清掃を手掛けるには、十全な感染症対策が求められる。たとえば、孤独死をした人物がウイルス性肝炎などを患っていた場合、それを知らずに作業をすると、スタッフが2次感染してしまう恐れがある。したがって、そうしたリスクを伴う現場にはゴーグル、特殊清掃用のマスク、全身防護服を着用して入る。

さらにオゾン発生器のほか特殊な殺菌・消臭の薬剤も使用する。つまり、スタッフの感染のリスクを最小限に抑え、次に部屋を使う人が安全に安心して使える高度なクリーニングのノウハウが彼らにはあるのだ。それは日々、壮絶な現場に向き合ってきた経験の積み重ねともいえる。

この特殊清掃業界は近年の少子高齢化、核家族化、を背景にして急成長してきた。

厚生労働省などによれば2011年には100社程度であった特殊清掃業者数は現在6000社ほどにまで増加している。DP号からの依頼は、まさに「特殊な清掃」のノウハウを期待されてのことだった。

「守秘義務があるので、DP号の船内での特殊清掃のことは……」

筆者が現地で出入りしている業者のユニフォームのロゴを確認したところ、国内の特殊清掃業者であることがわかった。複数の会社に取材をかけてみた。日本特殊清掃隊として同船の除菌作業に参画していたのは静岡県富士市の特殊清掃業「リスクベネフィット」。代表・惟村徹氏が取材に応じた。