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あのクルーズ船の「特殊清掃」を任された業者が、次に抱えている仕事

同社への依頼は特殊清掃現場で使用する薬剤の提供が多いという。

岩橋氏はいう。

「アルコールの液剤は品薄が続いていますが、われわれは別の除菌薬剤の供給ルートを持っています。薬剤の成分は安定型次亜塩素酸ナトリウム。インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの不活化に高い効力があり、新型コロナウイルスの不活化にも期待ができ、人体への害はありません。パチンコ店や高齢者施設から『岩橋さんの会社で使っている薬剤を提供してほしい』という依頼が相次いでいます。いま、われわれが業務用で使っていたものを、小売りできるように生産体制を整えているところです。博多・中洲の歓楽街などでも客足が遠のいています。『コロナ対策をしている』ということを、いかに早期に打ち出せるかが、カギになってくるでしょう」

除菌や防疫の技術ないのに「コロナ除染、多数実績あり」

ただし、懸念材料もある。先述のように特殊清掃業者数は現在6000社ほどにまで膨れ上がっている。先述の惟村氏や岩橋氏らによれば、除菌や防疫のノウハウもない業者も少なくなく、業界全体が玉石混交状態という。

「自社サイトで『コロナ除染、多数実績あり』などと過剰に謳っている業者が出始めていますが、本当かな? と疑って見ています。きちんとしたノウハウを持たないのにウイルスが蔓延する現場で作業をすると、逆に感染拡大の要因をつくってしまう」(惟村氏)

ではどうやって見極めればよいのか。

惟村氏は「一定程度(数年以上)の特殊清掃業歴があるかどうか」「本業として特殊清掃をやっているかどうか(コロナ騒ぎに乗じていきなり商売を始めていないか)」がポイントという。

いずれにせよ、特殊清掃業界が新型コロナウイルスの感染拡大防止の「縁の下の力持ち」として存在感を示しつつあるのは、確かなようだ。

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)
浄土宗僧侶/ジャーナリスト
1974年生まれ。成城大学卒業。新聞記者、経済誌記者などを経て独立。「現代社会と宗教」をテーマに取材、発信を続ける。著書に『仏教抹殺』(文春新書)など多数。近著に『ビジネスに活かす教養としての仏教』(PHP研究所)。佛教大学・東京農業大学非常勤講師、(一社)良いお寺研究会代表理事。

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