新型コロナウイルスの感染拡大による懸念から、世界的な株価暴落に歯止めがかからない。
日本銀行は、景気悪化を食い止めるため、3月16日、金融政策決定会合を前倒しし、3年半ぶりに追加緩和に踏み切った。年間6兆円をめどに買い上げているETF(上場投資信託)を12兆円に倍増するなどと発表。そして、ETFを17日に1200億円強、19日には過去最大となる2000億円強を買い入れた。
ところが、19日の日経平均株価は1万6552円と、2016年11月以来の安値に沈んだ。
底なしの株価下落に、日銀は危機感を募らせている。
「日銀が買い入れたETFはすでに約30兆円に及んでいます。バランスシートのさらなる悪化が懸念されています」(市場関係者)
実際、日銀の黒田東彦総裁は参議院の財政金融委員会で、日経平均が1万9500円程度を下回ると含み損が発生し、18日時点で「含み損は2兆円から3兆円に及ぶ」と答えていた。
メガバンク幹部が危惧する。
「このまま株価が下落すれば、日本銀行は一般企業でいうところの自己資本比率がマイナスに転じ、債務超過に陥る可能性もある」
ただ、日本銀行は株式に当たる日本銀行券を発行する特殊な銀行であり、自己資本を日銀券の発行残高で割った自己資本比率は8%を維持している。しかし、市場は大量のETF購入を続ける日銀を警戒している。それを端的に表わしているのが、日銀の株価の推移だ。