昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

病は恋の起爆剤? ドラマ『大恋愛』にも負けないカップルが多い理由

病は恋の起爆剤? がんになった母は父に…

 私には、かれこれ10年ほど、間違いないと信じている「持論」がある。それは、重い病を抱えている夫婦ほど、何年も、何十年も、男女の関係であり続けるという持論だ。病気になれば、恋心を抱く余裕もなくなると思われるかもしれない。しかし、私の周囲を見渡すと、不思議と逆に働くことが多いようなのだ。

金の切れ目は縁の切れ目だけど…

病は恋の起爆剤? がんになった母は父に…

 昨年ヒットしたドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』のDVDを見ながら、「どこかで見たような」という既視感を感じた。もともと元気だった戸田恵梨香さんが若年性アルツハイマー病を患う。戸田さんは、彼氏のムロツヨシさんに「迷惑がかかるから」と別れを切り出すが、ムロさんの恋心がさめることはなかった。むしろ激しく戸田さんを求め、妻として迎え、明るく 健気(けなげ) に妻を励ます姿を、私は、知り合いのカップルたちに重ねた。

 大きな病と無縁の視聴者なら、「でもなあ、 所詮(しょせん) ドラマだし……。現実には、病気になったらカップルの愛もさめるよ」と思ったかもしれない。確かに、アルツハイマー病は、過酷で残酷な病だと思う。けれど、私は持論を信じている。病を抱えながら、大恋愛中のカップルを知っているからだ。「金の切れ目は縁の切れ目」は否定しないが、健康が切れても縁は切れない。

SNSは恋バナの応酬

 腎移植後に、はじめた新習慣がある。ツイッターだ。

 400フォロワー程度の小さなアカウントだが、その多くは腎臓病を患う方であり、彼ら彼女らのつぶやきは私の日常に彩りを添えてくれている。実は、このツイッターとフェイスブックを使って、こっそりやっていることがある。

 それは、同じ病を抱える患者同士で、夫や妻の恋バナをDMでシェアすること。「うちの夫が 愛(いと) しくて」「うちの妻もなかなか最高なんです」などと、公の場で話せば、「おなかいっぱい」の恋バナも、同じ病を抱えるもの同士であれば「ウンウン、それで?」と共感しあえる。