文春オンライン

新型コロナ対策 持ちこたえるアジア、感染爆発を防げなかった欧米――何が明暗を分けたのか?

モンゴルと台湾の“水際作戦”が成功した理由

2020/03/27

「私はこの戦争に勝つ。見えない敵を打ち負かす」(トランプ米大統領)
「第2次世界大戦以来の最大の挑戦だ」(メルケル独首相)
「私たちは戦争状態にある」(マクロン仏大統領)
「防疫は戦争と同じ。政府と民間は心を一つにしよう」(台湾の蔡英文総統)

 人類は今、地球規模で猛威をふるう新型コロナウイルスとの“戦争”の真っ只中にいる。各国のリーダーの発言がそれを如実に示している。はたして新型コロナが勝つか、人類が勝つか――。

©iStock.com

 そこで本稿では、水際対策を中心に「新型コロナ対策で成功した国・失敗した国」を見てみたい(いずれも現時点での分析であり、今後の感染の展開次第では評価が変化する可能性もある点は、どうかご了承願いたい)。

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感染者を11人にとどめているモンゴルの対策

 欧米諸国と違い、東アジア諸国の中には、中国からの感染を防ぐ水際撃退作戦で成功した国が多い。モンゴルや台湾、シンガポール、香港、ベトナムが特にそうだ。これらの国々は、2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2012年の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス、2009年の新型インフルエンザなど、過去にさまざまな疫病に襲われて多数の犠牲者を出した教訓を生かしている。

 中でも、中国と5000キロ近い国境を接するモンゴルは、3月26日時点で、感染者が11人にとどまる。死者数はゼロだ。

モンゴルのバトトルガ大統領 ©AFLO

 モンゴルは当初から大胆かつ迅速な新型コロナ対策を実施してきた。

 春節(旧正月)の折、中国湖北省武漢市が1月23日に都市封鎖したなか、モンゴルは1月27日に中国との国境の道路を封鎖して車や人を通行止めにした。また、同日には幼稚園から大学まで全教育機関を休校にしたほか、多数の人が集まる芸術・文化・スポーツイベントや会議の開催を禁止した。

日本の対応はモンゴルより1カ月以上遅かった

 ちなみに、日本が中国と韓国からの入国制限の強化(中韓両国に発給済みの査証の効力停止と両国からの入国者に対する14日間の待機要請)を始めたのは3月9日。そして、安倍首相が小中高校の休校を要請したのは2月27日。大規模なスポーツ・文化イベントを中止もしくは延期、または規模を縮小するよう要請したのは2月26日だ。モンゴルに比べ、何もかも1カ月以上遅い。