〈あらすじ〉
1986年、一人っ子政策下の中国。国有企業工場で働くヤオジュン(ワン・ジンチュン)とリーユン(ヨン・メイ)は、息子のシンと幸せに暮らしていた。同僚のインミンとハイイエンには、シンと同年の同日に生まれた息子ハオがおり、息子たちは兄弟のように育った。94年、ハオに連れられて行った川で、シンが溺死してしまう。たった一人の愛息子を失ったヤオジュンとリーユン夫婦は、乗り越えられない悲しみを抱えて故郷を離れ、南方の港町に移り住む。数年後、2人はシンと名付けた養子と暮らしていたが……。
〈解説〉
変貌する社会情勢を背景に、懸命に生きる夫婦の30年間を描く。第69回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀男優賞、最優秀女優賞)を受賞。監督・脚本は『我らが愛にゆれる時』のワン・シャオシュアイ。185分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆’94年→’86年→2011年という時代の組み立てにとまどうが、公と私がせめぎ合う大河ロマンとして楽しめた。演者も巧い。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆悔恨と苦痛を2本の軸に、胸を強く締めつけてくる。「悲劇の伽藍」に風を少し通してほしかったが、それは求めすぎか。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆子を失う悲しみと夫婦間の想いの齟齬を優しい力を感じるように描いていて胸に沁みた。政治非難の作風でない事に☆。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆国の政策から生じる個の喪失は我々も他人事ではない。大衆の原像に篤と迫った中国現代史の『喜びも悲しみも幾歳月』。
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洞口依子(女優)
★★★★☆激動の時代を生きる主演夫婦を演じた2人の佇まいは圧巻。文革の裏側は映画的だが中でも一人っ子政策は悲痛な叙事詩。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
「在りし日の歌」(中)
角川シネマ有楽町公開中、Bunkamuraル・シネマ6/
http://bitters.co.jp/arishihi/
