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「絶対にマンションに入らせるな」住人の看護師さんの感染を疑ってバリケードが設置される

お前らの知能が緊急事態な反ワクチン派も無事改宗の巻

2020/04/08
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 去年までは「コロナ」と言われても湯沸かし器か昔のトヨタ車ぐらいしか思い浮かばなかった平和な時代だったんですけどね。

 随分、コロナ騒動と戦っている気がしますけど、せいぜいここ2か月ちょっと。その間に、世間もかなり変わってしまいました。夜に気兼ねせず飲み歩ける日々が失われて久しいと思ってましたが、意外とそんなもんです。

「軽症者は家で静かにいろ」と言っても

 私が顔を出している実家近くの町内会では先週、コロナウイルスに具体的に罹ってしまった人が出たということで、大変な騒ぎになりました。東京都内で1,000人を超える感染者がいる以上、確率から言えば運悪く感染してしまった方もいらして当然と思いますし、単に高熱で具合が悪いだけという「軽症」であれば、なるだけ自宅にいなさいというのはテレビも新聞もスーパーで会えばご挨拶するおばちゃんも塾でご一緒するママ友もみんな「知識としては」知っています。

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 しかしながら、口先で「軽症者は家で静かにいろ」と言っても、その本人もコロナウイルスに感染したくてしたわけではないし、熱で臥せっているところ、身寄りのない人であれば当然町内会や民生委員の皆さんで手分けして様子伺いのひとつもしなければならないはずなんですよ。でも、うっかり丸腰やマスク一枚で見舞いに行ってコロナに罹ってはたまらない。

 そして、「お前行けよ」「いや、お前が」と押し付け合いの果てに結局誰も訪問しないという顛末に容易になります。世の中そんなもんでありまして、一人暮らしのご老人が感染してしまっても、助けてという声も挙げられなければ助けにもいけないのが現実です。

いつ帰ってくるのかも分からないぐらい激務

 でも、先日は先日で、ある朝、近場の病院にお勤めの看護師さんの女性がどうやらコロナらしいという噂が出ました。そのころ私は実家から離れた自宅におり、町内会でご一緒しているおっさんから「早く来て」という悲鳴のような電話を受け取っていただけだったのですが、何だろうと思って詳しく話を聞くと、実に面倒そうな事件でした。

 それは、その看護師さんがお住いのマンションにて、住民で管理組合のおっさん複数が震え上がり「絶対にマンションに入らせるな」と騒ぎ出し、鳩首会談の結果、マスクとレインコートで完全武装して玄関を締め出し封鎖に乗り出すという事案が発生しているというのです。何それ。きっとパニックになっているか、生まれつき馬鹿なんだろうなあと思いました。

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 看護師さん、そうでなくても大変な職場なんですよ。いまやコロナ騒動真っただ中で、感染の疑いがある人も普通の患者さんもたくさんやってくる中で、文字通り身体を張って働いておられるのです。で、逆に言えば、看護師さんはいつ帰ってくるのかも分からないぐらいの激務です。直接その看護師さんに電話をしてもお出にならず、4時間が経ち、8時間が経過しても、いつまでも看護師さんは帰ってきません。