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即位からもうすぐ1年 天皇皇后と愛子さまの“固い結束”に見る「令和の天皇家」の安定感

「相手を急がせない、ご自分も急がない」という姿勢

2020/04/09

 東日本大震災の発生から9年を迎えた3月11日午後2時46分、天皇皇后両陛下はお住いの赤坂御所で愛子内親王殿下とともに犠牲者に黙祷を捧げられた。

 3月末には例年、奥志賀にご一家でスキーに出かけられていたが、新型コロナウイルスの影響を鑑みて自粛された。即位後初めての外国訪問となる予定だった英国訪問も延期となった。この他、公務の多くも取り止めの申し出が続いていることもあり、ご一家は御所内で静かにお過ごしになっているという。

「陛下はジョギングをなさったり、雅子さまとご一緒に散策されていましたが、新型コロナの感染拡大が問題になってからは、お二人ともお取り止めになり、ご研究のテーマでもある水問題に関連する調べ物をなさる時間が増えているといわれています」(宮内記者)

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©AFLO

両陛下の被災地への思い

 即位されてからこの5月で1年を迎えようとしている。ご療養中の雅子さまは、即位関連の行事を欠席することなく、すべてお出ましになることができた。行く先々で、雅子さま流のおもてなしや接し方、笑顔などが見られた。

 両陛下が常に心を寄せられていたのは被災地のことだった。陛下は、国民祭典や一般参賀、陛下の誕生日などでも被災された方々への思いを言葉にされている。

 令和になってからも新たな災害に見舞われた。昨年10月には台風19号が東日本各地に甚大な被害をもたらした。両陛下がその被災地を見舞われたのは、即位関連の行事がいち段落した昨年暮れの12月26日。飛行機とヘリコプターを乗り継いで東北に向かわれ、宮城県では、氾濫被害に遭った山間部の丸森町、福島県では、堤防が決壊した安達太良川を訪れた。

安達太良川を訪れた両陛下 ©時事通信社

 さっそうと降り立った現地では、被災された方々の話に耳を傾けられて、頷かれ、温かい言葉を掛けられていた。

雨に濡れながら被災状況を確認されていた

 雅子さまの笑顔に接した人たちは、「昔(皇太子妃時代に)批判されてきた悪いイメージとは違って、とても自然な方で話をよく聞いてくださいました。私たちの話も聞き流されることがないのが印象的で、誠実なご性格が表れているように感じました」と口を揃えていた。

 現地の関係者らが舌をまいたのが、陛下の被災状況を確認する質問だった。

 宮城では降りしきる雨の中、車からの視察だけではなく、車から降りて傘を差しながら関係者の説明を聞き、何度も地図を見ながら、川の氾濫状況や流れなどを確認されていた。その肩には、雨が掛かっていたが、気にするご様子はなく納得されるまで質問をなさり、悲惨な状況を目の前にしては立ちすくんでおられた。