新型コロナウイルスの感染者が世界最多の30万人を突破し、死者も9500人を数えるアメリカ。未曾有の事態で注目を浴びる医師がいる。国立アレルギー・感染症研究所長のアンソニー・ファウチ博士(79)。これまで6代の大統領のアドバイザーを務める感染症問題の大家だ。彼は専門家チームのリーダーとしてホワイトハウスの会見に出席。トランプ大統領のストッパー役となっている。
「エビデンスに基づく解説は有名で、トランプの暴走をやんわり諫め、『モノ言う専門家』として国民の信頼感は高まるばかり。彼の写真を載せたドーナツが発売されたほどです。自身もメディアに出演し、ウイルスの危険性を訴える一方で、手洗い、消毒、対人距離の重要性を説いています」(現地記者)
3月19日の会見で、トランプは突然、抗マラリア薬について「局面を打開できる可能性がある」などと言い出した。だが、ファウチ氏は翌日、「効果は証明されていない。答えはノーだ」と明確に否定。ファウチ氏の後ろで自身の発言を退けられたトランプ氏は、口をすぼめて気まずそうな表情を浮かべるばかりだった。
ところが、そのファウチ氏に思わぬ反対勢力が登場する。きっかけは3月20日の会見だった。