黒川弘務・東京高検検事長(63)の「定年延期問題」で揺れた法務検察に、新たな騒動が持ち上がっている。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、法務省が4月9日、翌10日付で発令予定だった検事の人事異動を凍結したと発表したのだ。
司法記者が解説する。
「検察組織は最高検をトップとして全国に8つの高検、各都道府県に地検があるが、人事権は法務省が握っている。今回の人事は春の全国的な定期異動で、対象検事713人のうち、他省庁に関連する56人を除く657人の異動が延期された。森雅子法相(55)が独断で決めたようです」
発令前日の突然の凍結とあって、異動予定だった検事たちは大混乱に陥り、こう怨嗟の声を上げる。
「異動先に引っ越しの荷物を送ったのに、自分は身動きが取れない。いつまでこの中途半端な状態が続くのか」「子どもが異動先の学校に通うための手続きを既に取っていたので、先に家族を行かせざるを得ない」——。予定外の住居費など補償問題も浮かぶが、コロナが収まらない限り、凍結解除は見通せない。
今回の凍結発表の伏線には、森法相と、検事らが務める法務省幹部の間にできた“溝”があるという。