新型コロナウイルスが意外な「副作用」をもたらしている。外出自粛の動きが広がり始めた3月以降、最大の流行地域である東京都を中心に、事件・事故の発生が激減しているのだ。
警視庁担当記者が話す。
「いち早く外出自粛要請が出た都内では、3月の110番通報件数が前年に比べ、約2万7000件減の約13万件で、約20%も減少。全国でも同様に減っている。昨年増加したばかりだっただけに衝撃的な数字です」
そんな中、当然ながらコロナ絡みの通報は増えている。「マスクを着けず人が集まっている」「店が営業していて客の声がうるさい」等々。ただ、当局が気にしているのは、外出自粛に伴う家庭内の事件の増加だ。
「家族が自宅で過ごす時間が長引くことで、ストレスによる家庭内暴力(DV)や児童虐待が増える恐れがある。『外出の是非を巡って親子げんかになった』といった通報も相次いでいるようだ。日本よりも厳しい外出制限措置を取っているフランスでは、DVの通報件数が上昇して社会問題化している」(同前)
もちろん、事件・事故が発生すれば警察官が駆け付けることに変わりはない。ただ、臨場できる人数が通常通りとはいかない。警視庁、愛知県警、兵庫県警などにコロナの猛威が及び始め、“警察崩壊”といえる状況が起こりつつあるのだ。
「警視庁では赤坂署で女性刑事の感染が発覚して、同僚70人余りが自宅待機。本部から100人以上が応援に入りました。他にも町田、武蔵野、昭島署で警察官の感染が確認。採用を増やすわけにもいかず、人員を融通し合う状況です」(同前)