昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載近田春夫の考えるヒット

「魔進戦隊キラメイジャー主題歌」地に足のついた出来栄えに好感――近田春夫の考えるヒット

2020/05/03

『魔進戦隊キラメイジャー主題歌』(大西洋平)/『WABISABIの唄』(THEイナズマ戦隊)

絵=安斎肇

 ヒーローものっていうんですか? 音楽のことはさておき、あの世界の登場人物たちのアピアランスには一貫性/共通性があるだろう。さて、では始まりはどこいらへんなのかいなと。全くの門外漢なので断言は避けたいが、恐らくは“仮面ライダー”あたりなのですかねぇ? その程度の感想がやっとの私なのだが、もうひとつ前の時代のTVの話をすれば、今でいう“ヒーロー”とは、そもそも「正義の味方」と呼ばれる人々のことだったのかも知れぬ。

“はしり”は月光仮面だったかまぼろし探偵だったか、いずれにせよ共通するのは、主人公がその“仕事”に就く際には、なんらかのカタチで必ず着替える――すなわち変身ですかな――というエチケット(?)の設けられていたことで、無論そのルーツは、当時大人気だった、スーパーマン(クラーク・ケント)だと思うが、そうした東京放送(TBS)系“正義の味方”の活躍に、遅れを取らじと組まれたのが、NET(現在のテレビ朝日)の子供向けの“枠”であったと思う。

 私は少年ジェットに七色仮面、ナショナルキッドetcと、夢中になって毎週毎週観ていたものだが、大人になるにつれ、自然とそうした世界からは足も遠のいていった。

“番組”としての系譜で申せば、放映の時間帯や制作会社などから見ても、キラメイジャーはどうやらバリバリこの流れのようで、少年ジェットの魂! が、今もなお連綿と受け継がれていたのかと思うと、なんだか感無量の思いだ(そういえば、キラメイジャーをYouTubeで観ていたら、七色仮面みたいな被り物の脇役が出てたなぁ)……。とかなんとか。おっとそんな感傷にふけっている場合じゃあなかった!(笑)

魔進戦隊キラメイジャー主題歌/大西洋平(日本コロムビア)作詞は、戦隊シリーズ主題歌の歌詞で高い評価を受けている藤林聖子。

 この楽曲で嬉しかったのは、タイトルがちゃんと『魔進戦隊キラメイジャー主題歌』の表記となっていたことだ。妙に甘ったるい副題などもなく、目的が非常にハッキリしている。いってみれば“ワークマン”の商品のような質実剛健さを感じさせてくれるのだ。

 実際に番組を観てみても、曲の入ってくるタイミングにしろ本編との質感的な相性にしろ、まさしく主題歌としての“分をわきまえている”といったらよろしいか、昨今の劇場アニメなどによく見られる、ふわふわとした――主題歌ならぬ――イメージソング類とは一線を画す、地に足のついた出来栄えに、なんだか好感を持ってしまった。

 それにしても、今の時代はこういったテーマソングのチャートインも普通のことな訳だが、俺の子供時分、そうした仕組みがあったのなら、それこそ人気番組の主題歌たちは、どのぐらい票を集めていたものか? あ、そうか、そもそも昔はこの手は製品化されない音楽だったのよね! そんなことも考えてしまった69歳の元少年なのであった。

WABISABIの唄/THEイナズマ戦隊(NIPPON CROWN)1997年から活動をはじめた彼らの、結成23年にして初の地上波ドラマタイアップ。

 THEイナズマ戦隊。

 この動画の手作り感は、ある意味新鮮かも。畳に土足は、ちょっと俺、イヤだけどネ。

今週のラヂオ「みんなリモートワークを余儀なくされているこのご時世、オレもこんど秋元康がプロデュースしている深夜ラジオ番組(Tokyo FM『TOKYO SPEAKEASY』)にて、適菜収さんとZoomを使って生放送やるよ。スタッフからZoomでって一言言われてさ」と近田春夫氏。「未体験だけど楽しみだね。4/29(水)、聴いてね!」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

この記事の写真(3枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー