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【追悼・岡江久美子】「天までとどけ」で母娘役 若林志穂が忘れられない「手のぬくもり」

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「岡江さんと最後に会ったのは2008年、『天までとどけ』で共演した公平(金杉太朗さん)のお葬式でした。まだ33歳だったのに、酔っ払って電車のホームから落ちて亡くなったんです。当時、岡江さんは『はなまるマーケット』の司会を担当されていて、仕事の合間を縫って駆けつけていました。劇中では岡江さんが彼の母親の役、私は姉役で、本当の親子のようなお付き合いでしたから、本当にショックだった。

 葬儀の途中で帰られるとき、別れ際に岡江さんと『ありがとうございました』と握手したのですが、その手がとても温かかったのが忘れられません。あの岡江さんが……まさか岡江さんがこんなことになるなんて……。まだ現実を受け止められなくて、いまは『安らかに眠って下さい』と見送るという気持ちにはとてもなれません」

 4月23日、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった女優の岡江久美子さん(享年63)。昼の連続ドラマ「天までとどけ」(TBS系)で約10年間、岡江さんと親子の役柄を演じた女優の若林志穂(48)が、「文春オンライン」の取材に、嗚咽で言葉を途切れさせながら当時を振り返った。

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“母”岡江久美子への思いを語った“長女”若林志穂

最高視聴率19%を記録した「天までとどけ」

 昼の帯ドラマとしては異例の最高視聴率19%を記録した「天までとどけ」(TBS系)は、1991年から99年まで続いた名作ホームドラマだ。八男五女の父親役を綿引勝彦、大家族を支える母親役を演じたのが岡江さんだった。

 当時19歳だった若林は、兄弟をまとめる長女“待子”役をつとめた。