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コロナ禍で進行しつつある「介護崩壊」の恐るべき現状

マスクの全世帯配布は世間から大批判を浴びました。一世帯にわずか2枚ということやその配布に466億円もの予算が使われたことに対する衝撃からです。「たった2枚のためにそんな大金を使うなら医療機関や介護施設にまわすべきだ」という声があがりました。マスク不足で悩む医療機関はまだ多いようですし、布マスクは使いものにならないでしょう。ただ、介護施設では役に立っているのです。

厚労省がデイサービス職員による利用者宅の訪問ケアを可能にしたワケ

このマスク以上に介護業界の人たちを驚かせた厚労省の素早い動きがもうひとつあります。それは「通所介護、つまりデイサービスの職員が、利用者宅に訪問してケアをしてもいい」という制度変更を厚労省が決めたことです。

これには介護の現場や業界の事情を説明する必要があるでしょう。

「在宅介護」は本来、要介護者が自宅を訪れるホームヘルパーや訪問看護師などの介護サービス事業者のサポートを受けてケアを受けるものです。

一方、「デイサービス」は、在宅で介護を受けている高齢者などの要介護者が、日中、設備の整った施設でケアを受けるものです。施設のスタッフが要介護者を朝、自宅まで迎えに来てくれます。施設ではお昼ごはんも出るし希望すれば入浴もできる。さまざまなレクリエーションをしながら一日を過ごし、夕方にはまた自宅に送り届けてくれます。家族はその間、安心して仕事ができるというわけです。

休業要請出ないのに自主休業の介護事業者続出で「介護崩壊」の危機

しかし、デイサービスの施設は、新型コロナウイルス感染において避けなければならない3密(密閉、密集、密接)の場所です。実際、施設内で集団感染した事例が発生しています。ただ、悪条件はそろっていても必要とする人がいるため、デイサービスの施設に休業要請を出している自治体はありませんが(3月に名古屋市が2週間の休業要請を出した例はある)、感染を恐れて自主休業している事業者はあります。