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コロナ不況で「引くも進むも地獄」 自慢目的でタワマンを買った中産階級の末路

本当の金持ちは新築タワマンに手を出さない

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genre : ライフ, ライフスタイル, マネー, 経済

自慢目的でタワマンを買った中産階級。コロナで"引くも進むも地獄"状態に

タワマンを買う中産階級(パワーカップル)たち

タワーマンション(以下タワマン)は、地震国である日本には元来なじまないものであった。しかし都心や湾岸部での規制緩和(容積率緩和)や耐震技術の進歩により、続々とタワマンが林立し、2000年代以降、いわゆるタワマンブームが到来した。現在、日本全国にタワマンは1300棟以上、東京都だけでその3割にあたる400棟が存在する。

写真=iStock.com/kanzilyou ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kanzilyou

本当の富裕層はタワマンを買わない。この国の伝統的富裕層は、もともと都心部の地価の高い住宅地に伝統的に土地所有権を有しているので、4階未満の一戸建て住宅に住む例がほとんどである。そして後述するが、マンションにおける区分所有という所有権形態が、大規模修繕や建て替えのときに自分だけの意思ではどうにもならない難物であると知っているからである。

タワマンブームが起こったゼロ年代初頭、タワマンの主力購買層はニュー・リッチと呼ばれる後発の富裕層であった。いわくそれは株や起業で財を成した新興の富裕層である。しかしタワマンがここまで普遍的になると、マンションデベロッパーはその購入ターゲットを新興富裕層からそれ以下の中産階級に拡大させざるをえなくなり、現在タワマンの主な購買層はパワーカップルと呼ばれる中産階級が担っている。

パワーカップルの生態。一体何者なのだ

パワーカップルとは何か。「夫と妻の収入を合算した世帯年収が1000万円以上」(三菱総合研究所)、「夫婦ともに年収700万円超」(ニッセイ基礎研究所)と定義はさまざまだが、おおむね夫婦の合算年収が1000万円近くの購買力旺盛な世帯だと考えてよい。

1992年、国は「年収の5倍で住宅を」というスローガンを打ち出した。80年代末から90年代初頭、地価は高騰し住宅取得倍率(住宅取得金額が年収の何倍になるか)は、都心部で10倍以上に跳ね上がった。年収が500万でも、長期ローンを組んで5000万円の物件を買った時代があった。一般に取得倍率が5を超えると、家計はローンの返済に圧迫され、「適正な」消費生活に支障を来す。