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「ファンの生活が守られてこそのプロスポーツ」元Jリーガー社長・鈴木啓太氏が語る「ポストコロナ」の世界

外出自粛中の「健康のバロメーター」は?

2020/05/08
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 在宅ワークや外出自粛など、新型コロナウイルスは今、ライフスタイルを急激に変化させている。

 サッカー日本代表時代は労を惜しまないプレーで名を馳せ、Jリーグ浦和レッズで数々のタイトル獲得に貢献してきた鈴木啓太氏は、16年1月の現役引退を機に実業家へ転身。腸内細菌を研究する「AuB株式会社」の代表取締役として多忙な毎日を過ごしている。そんな中で直面することになった新型コロナウイルスの感染拡大問題。38歳の元Jリーガー社長の目に、世の中の変化はどう映っているのだろうか。

※この取材はオンライン上で行われました。

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鈴木啓太氏 ©AuB Inc.

「いざとなったら子供たちに食事を作ってあげられるように」

「今は可能な限りリモートワークで仕事をしています」

 取材もオンライン。パソコンの画面を通して鈴木氏が語る。一日中家にいることも多くなっている今、鈴木氏が心身の健康維持のために意識しているのは、時間に区切りをつけて24時間を過ごすことだ。

 朝は早起きをして家の中でトレーニング。体を目覚めさせることから始め、その後は仕事だ。今はリモートワークなので通勤に時間を取られることがない分、仕事にかけられる時間は多くなっている。ただ、そこには落とし穴もあると言う。

「ヘルスケアに関する事業を行なっているので、今の状況下では自然と情報過多になってしまいます。正しい情報を正しく得るのは大事なのですが、あまりにも多くの情報を採り入れてしまうと押しつぶされてしまう。いろいろな情報をインプットしなければいけないのだけど、それを整理する前にいろいろなことを進めてしまうと、行き詰まってしまうのです」

 そこで気づいたのが、頭を無にする時間の必要性だという。鈴木氏が選んだのはジグソーパズル。

「家族みんなで“ワンピース”を探すことに集中して、無心にやっていますよ」

 楽しみながらリフレッシュができるそうだ。

 家族との時間が増えたことによってやり始めたもう一つは、料理だ。これには「コロナへの備え」も含まれている。

「例えば妻がコロナウイルスに感染しないとも限りません。そうなった場合に、子供たちに食事を作ってあげられるように、料理もやるようになりました」

調理師だった母の教え

 そんな鈴木氏には子供の頃から心掛けていた習慣がある。毎朝の便をチェックすることだ。

「調理師だった母から常日頃言われていたのは、『腸が大事』ということでした。子供の頃からよく食べていたのはキノコや梅干し。それに、お腹を冷やさないように夏でも温かい緑茶を飲んでいました。でも、何より大事なのはバランス良く食べることです。母の教えでそれをつねに意識していました」

幼少期の鈴木啓太氏。一番左が鈴木啓太氏 ©AuB Inc.

 鈴木氏は静岡の高校を卒業した00年にJリーグの浦和レッズに入団し、プロサッカー選手生活をスタートさせた。当時はまだ「腸活」という言葉がない時代。だが、毎朝の便の状態を自身の体調の評価軸とし、同時にバランスの良い食事を心掛けていた。

 すると、その習慣が功を奏したと感じる出来事が起きた。04年3月にUAEで開催されたアテネ五輪アジア予選でのことだ。