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「イライラ妻とウツウツ夫」の心を整える“家族のシフト表”と“自分時間”の線引き

臨床心理士が教えるコロナ巣ごもり生活のコツ

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 緊急事態宣言が発令されてもうすぐ1カ月。長引く外出自粛に、一家で“巣ごもり生活”を強いられ、精神的に追い詰められている人も多い。私たちはどのように心をコントロールしていけばいいのか。認知行動療法を専門とする臨床心理士の中島美鈴氏に、実践的な対処法を聞いた。

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妻は「口うるさくなる自分を止められない」

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出自粛が長引いて、テレワークが推進されるなど“巣ごもり”生活が続いています。いくら仲の良い家族でも、ここまで四六時中一緒に暮らすのは初めてのこと。さまざまな心の不調を訴える声が届いています。

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「イライラ妻」と「ウツウツ夫」に出された“処方箋”とは(写真はイメージ) ©iStock.com

 妻に多いのが、「ついついイライラして、口うるさくなる自分を止められない」という相談です。

 一日中、家族がそばにいることで、気になったことを相手に言わずにいられなくなってしまい、「ちゃんと手を洗って」というような些細なことで夫とケンカが続いてしまう。休校で家にいる子どもに対しても「いつまでゲームをしているの」「勉強しなさい」と、感情的になってしまうという相談もありました。

 一方、夫は、「鬱々としてしまう」という相談が多く寄せられます。

 不慣れなテレワークで仕事が思ったように進まない上に、家庭では妻から「あなたが家にいると3食作らないといけない」「家にいるなら掃除くらいして」などと小言を言われ、家にも職場にも身の置き所がないように感じられてしまう。自分は役立たずなんだろうか……と何もかも空しくて無性に悲しくなってしまうというケースです。

 妻と夫で共通しているのは、急に家族と共有する時間が増えてしまい、一種のパニックになっていること。その結果、家庭内で精神的な逃げ場がなくなり、家族でずっと生活しているのに孤立してしまうのです。