未だ届かぬアベノマスク…東京・新大久保では怒濤の叩き売りが始まっていた
マスク、実はもうあまり売れなくなった
これだけ全国的にマスクの品薄状態が続いているのだ。売れ行きはさぞ伸びているのだろう。と思いきや、実はそうでもないという声が聞こえてきた。
「今日の売れ行きは良くないよ。置いてある在庫の10%も売れてない。土日も暇だった。24日の金曜までは売れてたんだけど」
別の店のバングラデシュ人の男性は、ため息混じりにそう教えてくれた。その店はカバンなどを取り扱っているらしいが、店頭にはズラリとマスクの箱が並んでおり、ぱっと見「マスク屋」だ。バングラデシュ人の男性はもともと渋谷のお好み焼き屋さんで働いていたそうだが、コロナの影響で店が休業し、失業してしまった。そこで“カバン屋”を経営する兄に相談して、この店を手伝うことになったという。
「ここは貸店舗なので、一日3万円の家賃を払っている。ただ人通りもほとんどなくて何も売れない。赤字だよ。3カ月前に貸店舗を予約した時は、こんなことになると思ってなかったよ。マスクは、何か売れる商品を入れなきゃと思って、社長が急遽(きゅうきょ)中国から入手したんだ。でも、マスクを売り始めたお店が増えてきて、お客さんが少なくなってきた」
抱き合わせに値下げと必死…
貸店舗の期間は残り2日。マスク需要にすがりつくも、在庫が残ってしまう事態に直面していた。とある韓流ショップでも「23日の木曜までは、256個も売れてたのに、今日は4つしか売れていない」と、マスクの売上数の記録を見ながらその差に落胆していた。
大久保通りを一周してみると、供給過多の予兆さえ感じる。需要のピークは過ぎたのだろうか。どの店も購入個数に制限はなく、なかにはフェイスパックのプレゼント付きとアピールする店や、1箱3600円から3000円に値下げをしている店があった。だが、マスク販売はもはや商売のためだけはないようだ。
店の入り口に「マスクあります」と手書きの張り紙を掲示する韓国料理店。いわく2日前からマスク販売を始めた。だが、店員の韓国人の男性は「これで利益を出そうとしているわけじゃないよ。欲しい人がいるから販売している」と話す。