“大正時代の鬼退治”漫画が今、売れに売れている。その名も『鬼滅(きめつ)の刃』。5月11日発売の「週刊少年ジャンプ」では「次号最高潮」と予告され、18日発売号で完結に向かうのか、続くのか、今後の展開予想も話題となっている。最近は、明石家さんまやキムタクまで愛読しているという同作の隠された秘密とは?
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2016年2月から『週刊少年ジャンプ』で連載が開始された同作。作者は吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)という謎に包まれた新人作家で、今回が初めての連載だ。
家族を鬼に食い殺された物語の主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、唯一生き残ったが鬼となってしまった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探るべく、鬼の親玉・鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)を探す旅に出る、というのがあらすじ。剣術などの鍛錬を積みながら仲間と協力して敵を倒していく様は、ジャンプの王道である。
「設定もシンプルで子供にも分かりやすいため、小中学生にも大人気。低学年くらいの子でも食い入るように単行本を読んでいる姿は日常茶飯事です。しかし、鬼を倒すにはその首を切らなければならず、キャラクターたちの作画も不気味で、グロテスクな一面があるのが気になります」(ある保護者)
こうした心配の声もちらほら上がるが、なぜここまでヒットしているのか。東京工芸大学マンガ学科教授の伊藤剛氏が解説する。
「確かにグロテスクな部分が多いのですが、『鬼滅の刃』はそうした描写に関する批判が大きくない。炭治郎たちの“いい子さ”が作品全体を明るくする作用を果たしているからでしょう。熾烈な戦いを制して鬼を倒した後にも、その鬼の手をぎゅっと握り締めるシーンや、倒した鬼の武器であった手まりを亡骸に添えるシーンなど、主人公の優しさには鬼と人間の分け隔てがありません」
さらに、ヒットの裏にはこんな理由も。