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連載近田春夫の考えるヒット

THE RAMPAGEのMVを見て、もはやサウンドトラックと感じた――近田春夫の考えるヒット

2020/05/19

『INVISIBLE LOVE』(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)/『ヒラヒラ』(GENERATIONS from EXILE TRIBE)

絵=安斎肇

 男女を問わず、ついにはアイドルといえば、グループ以外ほぼ見当たらなくなってしまったといって過言でもないのが、昨今のjpop界の景色だろうが、何故そういうことになってしまったのか?

 ひとついえるとすれば、あの“群舞”てぇヤツだ。たしかにいわゆる“フォーメーションワーク”には、視覚的にも飽きさせぬ、ソロにはない、団体競技ならではの“フィジカルな魅力”がある。いわゆる“特典映像”などを観ていても、結果として、楽曲よりもそちらの方に印象の残ってしまうことは少なくない。

 例を挙げるとすれば、このところのLDH関係の仕事などということにもなろうか。

 思い起こせば、EXILEの本分というか出自というか、そもそもの出発点は――最近は死語に近いけれど――いわゆるストリート系のブレイクダンスの集団だった訳である。すなわち歌ではなかった。

 LDHという組織の体質からいって、所属するものたち皆がそうしたDNAを受け継ぎ、また、そのアイデンティティを大事に誇りに思っているであろうと想像するのは、さほど不自然なことではない。

 一家にとっても、無論、歌は大切! に決まっている。だがプライオリティワンといったら、何より“カッコいい動き”を見せることなのではないか? 若い衆の絵面に対するこだわりは、ハンパないものに違いないと思うのだ。

INVISIBLE LOVE/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE(rhythm zone)2014年結成の同グループ11枚目のシングル。「踊れるバラード」。

 そう書いているうちに、今回のTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE『INVISIBLE LOVE』の動画を見ていて、ひょっとしてこれは音楽をよりよく見せる為というよりも、映像/パフォーマンスありきで、それに相応しい音として、この楽曲はプロデュースされたのではないか? いってみれば、ここでの音は、俗にいう“サウンドトラック”のようなものではないか? そんなことがふとアタマに浮かんできた。

 まぁそれはカット割りやら何やら考えていくと、実際には作業的に不可能に決まっている話なのだが、いずれにせよ、今回の映像の魅力を力強く支えてくれているのが音楽であることだけは間違いない。

 ことに痛感するのが、サウンドの効果のことだ。イントロから挑発的に攻めてくる。全体に穏やかだったり可愛かったりするのがjpop通例の音作りだとして、ここではそういった当たり障りのなさを馬鹿にするが如く、刺激に満ち溢れた音像が展開される。そのあったればこそ、たとい歌詞の聴きとりにくい箇所があろうとなかろうと――外国語の歌のように――気にもならず映像のイメージを広げ、楽しむことが出来るのである。

 ここまできたら、もうLDHへの願いはただひとつ。歌は無しのインストナンバーをバックに、超カッコいいパフォーマンス/ダンス映像を是非とも披露/発表してほしい。新しいと思うんですけど……。

ヒラヒラ/GENERATIONS from EXILE TRIBE(rhythm zone)昨年紅白に初出場した同グループの22枚目のシングル。

 GENERATIONS。

『ヒラヒラ』っていうタイトルが、なんだかLDHらしくなくって、いいよね!

今週の宅飲み「このご時世、近所のコンビニのビールも品薄でさ。最近はアサヒの発泡酒やサントリーの金麦を気に入って飲んでいたのだけれど、それが見当たらなくなって、仕方なく今までだったら飲まなかった銘柄も飲んでいたんだよね。そしたら結構飲めるんだよ」と近田春夫氏。「いざとなったら、ビールはなんでもいけるということを学びました」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

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